DTMでミックスが劇的に上達する方法とは?

 DTMで作曲をやっていると必ずぶつかる壁、それが「ミックス」です。

 メロディもコードも伴奏もめっちゃいい感じ><イエーイ

 と喜ぶのもつかの間、なんだかミックスをしているうちに音がよくわからなくなってきてとりあえず完成させてみるも、

 翌日聞いてみると音がえらいことになっている

 なんてことはよくありますね。

 ではどうすればもっと効率良くミックスの勉強を学ぶことができるのでしょうか(?)

 今回はミックスを学ぶ上で、是非みなさんに覚えて欲しいポイントがあるのでそれを紹介していきます。

   

ミックスの一番の目的ってなに?

 まず最初に、ミックスの目的について考えてみましょう。

 答えはいくつか出ると思いますが、ここで一番大事な答えは、

 自分の理想の音を響かせる空間を作り出す

 ということです。  

 一番大事なのは、まずは空間を表現するリバーブをきちんと使いこなすことです。

 EQやコンプなどのように音を整えたり音色を変えたり、音作りをするためのミックスは一度後回しにして原点を振り返ってみましょう。

生活の中での音はEQもコンプもかかっていない

 普段我々が生活をしている環境の中で聴いている音にはEQもコンプも何もかかっていません。

 音量の大小についてはある程度耳からの情報と脳でボリュームのコントロールは行っていますが、基本的にはみなさんがどんな空間でどんな音を聴いているかというのが音の情報のすべてになります。

 つまり人間が音を聴くときには、無意識のうちにそれがどんな空間で鳴っているのかを認識していて、それが心地よいのか、はたまた不快な響きなのかを判断しているのです。

※厳密に言うと空気減衰や壁の吸音特性によって多少EQのような効果が生まれますが、それはあくまで空間の特徴を作るもので音作りをするためのものではありません。

空間と聴こえ方を決める重要な3つの要素

 では、それらの空間のどんな要素が音の聴こえ方を決める要素となるのでしょうか?

それは3つあります。

 音の聴こえ方を決める重要な3要素

  • 空間の残響時間(空間の大きさと吸音材の量)
  • 音源と聴き手の距離(直接音と反射音の割合)
  • 音源の位置と空間の対称・非対称

(1)空間の残響時間(空間の大きさと吸音材の量)

 残響時間はリバーブプラグインでも設定項目としてありますね。 普段何気なく使っていますが残響時間とはその空間で発音を止めてから残響が60db分減衰(ほぼ聴こえなくなるまで減衰)するまでの時間のことです、確認しておきましょう。

 残響時間は壁の素材やそこにいる人による吸音率の高さ、そして空間の大きさによって、長くなったり短くなったりします。

 一応、こんな式で求めることができます。

 残響時間=0.161×室容積(m3)÷ 全吸音力(秒)

 覚えなくていいです。

(2)音源と聴き手の距離(直接音と反射音の割合)

 音源から聴き手の距離が近ければ、直接音の割合が増えます、一方で距離が離れれば反射音の割合が増えます。

 こんな感じです、イメージしてみましょう。

 つまり距離を遠くしたければ反射音(WET)の割合を増やせば、現実世界では音源はどんどん離れていくように聴こえます。

(3)音源の位置空間と空間の対称・非対称

 これは結構おもしろいものなのです。

 空間の形が左右非対称な程、そして音源の位置が中心から左右にずれる程、音像はぼやけていきます。

 これはなぜかというと、聴き手に伝わる初期反射音の到達時間にずれが大きく生じるからなのです。なのでホールでも左右対称のところと左右非対称のところでは後者のほうがより音が混ざり合って聴こえます。前者は古典的なやや硬い響きになりますね。

 実際のホールではこの他にも様々な要因があるのでまた変わってくると思います。

 この現象については別記事で実際に音源を載せて紹介しているのでご覧ください。

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日常生活で音を聴いている空間の残響時間ってどのくらい?

 日常生活で聴いている音がどのくらいの残響時間なのかを知っておくのは大事なことです。

 というのも、よくミックスの本などには残響時間の設定値が載っていますが、なぜその設定値なのか(?)目指した空間がどんなものなのかの記載が一切ないからです。

 ここからは色々な環境や使用目的別に最適な残響時間を公開していきますので、今までの皆さんの設定値とイメージしていた空間が結びつくか見比べてみてください。

 ちなみに皆さんが普段生活しているお部屋が大体

 残響時間0.5秒〜0.7秒

 くらいだと思います。1つの指標になりますね。

歴史的にどんな残響時間が取り入れられているのか?

 これは様々な分野の音楽を演奏するために、最も適した残響時間と容積の関係をまとめたグラフです。

 容積が大きいほど適切な残響時間が増えていますが、これはお風呂を思い出してもらえればわかるのですが、小さな部屋では壁との距離が近いため短い残響時間でももわもわとした音像になってしまう傾向があるためです。

 つまり、この表の見方は、例えばアメリカ的なホールの響きをDTMで再現したければ空間のサイズも考慮しつつ、残響時間は1.0〜1.7秒程度に収める、という使い方ができます。

具体的にどのくらいに設定すべき?

 上の図はなかなか見づらいかと思ったので、各分野ごとにどのくらいの残響時間が最適なのかをまとめたグラフを作成してみました。

 例えばドラマのボイスやピアノの演奏であれば1.0秒が適していて、室内楽ですと1.2秒程度、オルガンを使った教会音楽ですと2.5〜3.0秒程度に長くても違和感なく聴けるという指標になりますね。

世界中のホールで使われてる残響時間と容積

 日本や世界のホールで使用されている残響時間と容積をまとめてみました。

 実際に足を運んでみて、自分の好きな響きのするホールを見つけて再現してあげるのにも役立ちます。

ホール名

容積

残響時間(満席時)

カーネギーホール

24,300 m3

1.6秒

ベルリンフィルハーモニー

26,000 m3

2.15秒

ボストンシンフォニー

18,700 m3

1.8秒

ミュンヘンフィルハーモニー

30,000 m3

1.86秒

ウィーン楽友協会

15,000 m3

2.1秒

NHKホール

25,000 m3

1.6秒

浜離宮朝日ホール

5,800 m3

1.7秒

サントリーホール

21,000 m3

2.1秒

東京芸術劇場

25.300 m3

2.1秒

すみだトリフォニーホール

18.500 m3

1.9秒

ミューザ川崎シンフォニー

27300 m3

2.0秒

東京オペラシティホール

15,500 m3

1.96秒

紀尾井ホール

8,700 m3

1.8秒

武蔵野音大BH

8,600 m3

1.55秒

武蔵野音大MH

3,120 m3

1.15秒

神奈川県立音楽堂

6,600 m3

1.25秒

東京文化会館

17,300 m3

1.6秒

まとめ

 今回は長くなってしまいましたね^-^;

 ただ最近は本に掲載されている数値だけを見て、その意味をあまりわからずに使ってしまうことも増えつつあるので、自分が使っている数値は歴史の中でどうやって生み出されてきたのか(?)や自分が何を表現したいのか(?)を一度再確認してみるのも効率の良い学習に繋がるかと思って書いてみました。

 そして、やっぱりなんだかんだ生演奏を聴きに行くのは一番耳の勉強になります(*´∀`*)