中世4~14世紀の音楽ってどんなだったの? 中世の西洋音楽史について

 今日では当たり前のように音楽ジャンルや、音楽理論が確立されていますが、それらは一体どのようなルーツで発展してきたのでしょうか?

 皆さんが普段聴いている音楽にも多くのジャンルがあって、それらは作られた時代も違えば、作られた目的も異なります。

 音楽ジャンルが確立された時代背景や、そのジャンルがどのような目的で作られたのかを知ることで、音楽の聴き方も変わってきたり、場面に応じて曲を選ぶのも上手になってきます。

 このサイトでは作曲の情報を公開していますが、曲をどんな場面に合わせて作るのかを考える時に、ジャンルの時代背景を知っていることはとても有利になります。

 今回から数回に渡って、中世から現代までの音楽の進化の歴史を紹介していきたいと思いますので、歴史が嫌いという方も是非当時の風景を思い浮かべながら眺めてみてください^-^ノ

   

中世文化の年表

時代 出来事や時代背景 有名な音楽家

7世紀

(600年)

  • ローマ・カトリック教会でグレゴリオ聖歌(単旋律)が誕生する。
  • 市民は天災を恐れ、神に救いを求めて生活していた。
  • 楽譜はまだ無く、聖歌は口頭伝承されていた。 

 ・グレゴリウス1世
(590~604年:伝説)

9世紀

(800年)

  • グレゴリオ聖歌が紙に書かれて伝承されるようになる。
  • これによって聖歌が国中に多く広まる。
  • 聖歌の下にもう1つの声部を重ねるようになる(2声のオルガヌム)。
  • ムジカ・エンキリアディスというオルガヌムの理論書が登場する。
  • 2つの声部は4度や5度で並行に動くようなものだった。

11世紀

(1000年)

  • オルガヌム声部は、次第に聖歌よりも上の声部に置かれるようになる。
  • 2つの声部は互いに反対方向へ動いたり、聖歌を長く引き伸ばしてオリジナルの旋律が目立つようになる。

12世紀

(1100年)

  • 12世紀頃、ノートルダム楽派(レオナン・ペロタンなど)の時代がはじまる。
  • 教会が絶大な権力を手にする。
  • レオナンが教会儀式(ミサ)のためのオルガヌムをまとめる。
  • ペロタンによってオルガヌムは四声へ拡張される。
  • 曲はまだリズムがなく、拍子が決まっていない3拍子のように聴こえるものだった。
  • 音高と音の長さをを表記するシステムが考案される。
  • 音楽はまだ人が楽しむためのものではなかった。

・レオナン
(12世紀後半)

・ペロタン
12〜13世紀初頭)

13世紀

(1200年)

  • ノートルダム大聖堂が完成。
  • フィリップ・ド・ヴィトリによって2拍子系が取り入れられる。
  • ヴィトリによって記譜法(アルス・ノヴァ)が考案される。
  • モテットと呼ばれる芸術のための音楽づくりがはじまる。

・フィリップ・ド・ヴィトリ
(1291~1361年)

14世紀

(1300年)

  • 教会の権威が徐々に及ばなくなってくる。
  • ギョーム・ド・マショーが脱宗教音楽を作り始める。
  • 中世までの作品の多くは匿名で作られていた。
  • この時代は3度の音が禁則で、5度の響きが正しかった。
  • 文字を読み書きできるのは貴族や聖職者、都市部の一部の住民くらいだった。

・ギョーム・ド・マショー
(~1377年

7世紀(600年頃〜)

 西洋音楽の最も古いルーツは、ローマ・カトリック教会で誕生した、神に捧げるための聖歌(単旋律)だったと言われています。

 人々は天災を恐れ、神に救いを求めて暮らし、その生活は中世の間続くことになります。

 聖歌はその後200年間、紙に書かれることはなく口頭で後に伝えられていきます。

9世紀 聖歌が紙に書かれて広まる-オルガヌム聖歌が誕生

 9世紀になると、グレゴリオ聖歌は単純な線によって紙に書かれるようになり、多く広まるようになります。

 そして、しばらくすると単旋律として歌われていた聖歌の下に4度や5度で声部を重ねるオルガヌムと呼ばれる旋律が誕生します。

 オルガヌム声部は、聖歌の下を4度や5度で並行に動く単純なものでした。

11世紀 オルガヌム聖歌の進化

 オルガヌム声部は次第に聖歌よりも上の声部(メイン)として作られるようになり、旋律も聖歌の動きと反対に動くようになってきます。

 そして、下の声部に置かれた聖歌も次第に引き伸ばされて単純化され、オリジナルの声部がより強調されるように進化してきます。

12世紀 ノートルダム楽派のレオナンとペロタン

 12世紀、教会はさらに絶大な権力を手にし、聖歌づくりはより活発化して、ノートルダム楽派のレオナンとペロタンによってさらに進化することになります。

 オルガヌムは先にレオナンによって教会儀式(ミサ)のために形式がまとめられ、後にペロタンによって4声まで拡張されることになります。

 この頃の聖歌はまだ拍子は決まっておらず、聞き方によっては3拍子系のように聴こえるものでした。

13世紀後半~14世紀 ヴィトリによる記譜法の考案

 13世紀の終わり頃になると、フィリップ・ド・ヴィトリによって新たに2拍子系(のように聴こえる聖歌)が取り入れられるようになり、ついに記譜法が考案されます。

 さらに、モテット芸術という、神とは関係のない芸術音楽を作る取り組みもこの頃からはじまります。

14世紀 マショーによる脱宗教音楽のはじまり

 ヴィトリと同時期に、ギョーム・ド・マショーも神に捧げるための音楽ではなく、人が聞いて楽しむための脱宗教音楽を作ろうという動きをはじめます。

 マショーの残した、臨時導音やシンコペーションを駆使した技巧的な作品は、後の芸術音楽へとつながっていきます。

 この時代では、まだ3度の響きは禁則として扱われ、5度の響き(現在では空虚五度)が最も美しいとされていました。

中世までに誕生した楽器

 中世では声楽がメインでしたが、現在の楽器の原型になる楽器が存在していました。

リコーダー

ヤマハ ソプラノリコーダー(ジャーマン式)YAMAHA YRS-301III

 リコーダーといえば、小学校で誰もが一度は演奏したことのある楽器ですが、実は起源は古く、中世の時代には既にリコーダーの原型になる楽器が存在していました。

バグパイプ

ハイランド・バグパイプ PLAIN

 現代ではスコットランドのイメージが強いバグパイプですが、中東が発祥で13世紀頃にはヨーロッパに伝わったと言われています。

パイプオルガン

 オルガンは紀元前から既に開発が始まっていて、最初は水力よって空気を送って音を出していました。次第にふいご(送風機)を使うスタイルに変わり、ヨーロッパでは13世紀頃から教会の楽器として普及します。 

アイリッシュハープ

Fullsicle Harp / フルシクル・ハープ メイプル

 ハープは紀元前3000年古代メソポタミアで誕生し、10世紀になってアイリッシュハープとしてヨーロッパへ伝わったと言われています。

中世のまとめ – ルネサンス文化へ向けて

  • 単旋律の聖歌が生まれる。
  • 中世を通して音楽は神に捧げるためのものだった。
  • 聖歌の下のオルガヌムと呼ばれる聖歌を引き立てるもう1つの声部が加わる。
  • オルガヌム声部は聖歌の上の声部になって、聖歌よりも目立つようになる。
  • オルガヌムは次第に4声まで進化していく。
  • 中世ではまだ3度の音は使われておらず、4度と5度の音で構成されていた。
  • まだ声楽がメインでリズムも曖昧。
  • きちんとした楽譜や馴染みのある楽器なども誕生していない。

 中世では、単旋律として始まった聖歌が4声にまで拡張されるところまで進化しました。

 中世の間、一貫して神のために作られていた音楽は、次のルネサンス文化から次第に人が楽しむためのもの、貴族のために捧げるためものとしてその目的が変わっていきます。

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