ルネサンス15~16世紀の音楽ってどんなだったの? ルネサンスの西洋音楽史について

 ルネサンスといえば美と華やかさが象徴ですが、音楽にもそんな美しさが現れるようになってきます。

 中世でグレゴリオ聖歌として誕生した合唱中心の音楽はルネサンス期に入ると次第に楽器が加わるようになり、現在使われている多くの楽器の起源ともいえる楽器はルネサンス期までに誕生します。

 今回はそんなルネサンスの音楽がどのように進化して次のバロック期へと繋がっていくのかをみていきましょう。

   

ルネサンス文化のできごと

時代 出来事や時代背景

15世紀
(1400年)

  • イタリアを中心に、商人階級が力を持つルネサンス文化が始まる。
  • 市民が優雅に暮らせる時代で神への信仰も薄くなる。
  • イギリスとフランスの戦いでイギリスの音楽がフランスに入ると、イギリス音楽で多用されていた3度、6度の響きがフランスで使われるようになり、音楽らしい美しい響きになってくる。
  • 15世紀には大らかな旋律と温かい響きの無伴奏宗教合唱曲が主流になる。
  • ベルギーやフランス北部周辺から多くの作曲家が誕生する(フランコ・フランドル楽派)。
  • ルネサンスでは、世俗曲から旋律を借りてきてミサ曲(宗教曲)を作るようになる。
  • 対位法という言葉がはじめて使われるようになる。
  • 作品に著名する作曲家が増える(芸術家意識の芽生え)。
  • ルネサンス前期までは声楽が芸術音楽の中心だった。

16世紀
(1500年)

  • 印刷技術が発達し、楽譜が印刷されて広まる
  • プロテスタント教会でもグレゴリオ聖歌を参考にしたコラールというジャンルが歌われるようになる。
  • カノンのような輪唱スタイルが生まれる。
  • この頃から鍵盤用の編曲(フーガの原型)や管楽合奏などが登場する。
  • 16世紀になると無伴奏宗教合唱曲はイタリアへ受け継がれる。
  • マドリガーレというイタリア語のロマンチックな合唱が流行する。
  • ヴェネチア楽派の誕生。
  • 音の縦の繋がりを見つけ、和音と不協和音を発見
  • ルネサンス後期はクラウディオによって不協和音を使った表現がはじまる。

ルネサンスに活躍した音楽家

有名な音楽家
  • ジョン・ダンスタブル(1390~1453年)
  • ジル・バンショワ(1400~1460年)
  • ギョーム・デュファイ(1400~1474年)
  • ジョスカン・デ・プレ(1440~1521年)
  • オケゲム(1425~1497年)
  • ピエール・ド・ラ・リュー(1460~1518年)
  • アルカデルト(1505〜1568年)
  • ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナ(1525~1594年)
  • ジョヴァンニ・ガブリエリ(1557~1612年)
  • ドンカルロジェズアルド(1561~1613年)
  • クラウディオ・モンテヴェルディ(1567~1643年)

15世紀(ルネサンス前期)

 中世までの教会の権力が強かった時代は終わり、神を信仰しつつも今の生活を楽しもうというまったりした時代がやってきます。

 ルネサンスは商人(市民)の時代とも呼ばれ、一般市民が美を謳歌できる時代でもあります。

西欧音楽に3度、6度の音が取り入れられるようになる

 ルネサンス音楽の大きな特徴としては、中世以前には使われなかった3度や6度の音がイギリスから伝わり、積極的に取り入れられるようになったことがあります。

対位法という言葉がはじめて使われる

 現在でも作曲法で使われる対位法という言葉は、このルネサンス期にはじめて使われ始め、旋律と旋律の関係がまとめられはじめた時期でもあります。

ルランコ・フランドル楽派の時代から作品に署名するようになる

 15世紀にはベルギーやフランス北部周辺から多くの作曲家が誕生し、フランコ・フランドル楽派と呼ばれ、この時代から多くの作曲家が自分の作品に名前を残すようになってきます。

声楽が中心で楽器はサポート役

 ルネサンス前期ではまだまだ無伴奏合唱の声楽が中心で、器楽による編曲もありましたが、多くは声楽の声部を補うサポート役として使われていました。

16世紀(ルネサンス後期)

 ルネサンスでも前半と後半では随分と印象が変わってきます。

印刷技術が発達して楽譜が印刷されるようになる

 ルネサンス後期からは印刷技術が発達し、楽譜が容易に複製できるようになり広まることになります。

プロテスタント教会でコラールが誕生する

 楽譜が広まると、プロテスタント教会でもカトリック教会のグレゴリオ聖歌のようなものを取り入れようという動きが始まり、コラールという合唱が誕生します。

輪唱スタイルの誕生

 16世紀は、輪唱スタイルが誕生した時代でもありました。後にカノンとして発展していく輪唱スタイルは、教会音楽のをずらして重ねていくスタイルと共に始まっていきます。

和声が積極的に取り入れられるようになる

 3度、6度が取り入れられるようになって、次第に横のつながりから縦の繋がり(柱)を重視して曲が作られるようになってきます。 

 ルネサンス後期には現在の和声法に繋がる最初の一歩が既に始まったといえます。

和音と不協和音の発見

 縦の繋がりを重視するようになって、綺麗に響き合う和音と不安な響きをもつ不協和音の存在に気がつくのもこの時代です。

多くの器楽曲(特に鍵盤)が発達する

 ルネサンス前期では声楽をサポートする程度の役割だった楽器ですが、次第に楽器用に編曲された器楽曲が登場するようになります。

 この時代には既に現在の華形トランペットの原型やほとんどの金管、リード楽器の起源となる楽器が続々と誕生してきます。

 特に、バロック以降に華形となる鍵盤楽器の基盤はこのルネサンス期に作られていました。

ルネサンス期に誕生した楽器

 ルネサンス期に誕生した楽器には次のようなものがあります。

ヴァージナル

 ヴァージナルは後にハープシコード(チェンバロ)へ進化する楽器で、15世紀にヴェネツィアで誕生しました。

ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

 この頃になると、後のコントラバスの起源でもあるヴィオール属の楽器が誕生します。ヴィオール属はヴァイオリン属と異なってなで肩をしているのが特徴です。

 現在の擦弦楽器と演奏方法はほぼ同じですが、この頃のヴィオール族にはなんとフレットが付いていました。

リュート

 リュートは現在でも割と知名度のある古楽で、ルネサンス期にその原型が誕生しました。ルネサンス期には平らだった指板は徐々にカーブが付いて進化していきます。

ランケット

 ルネサンスの時代には、後のファゴットへ進化する起源になるランケットというダブルリードの楽器が誕生します。ランケットは見た目は小さくても中に長い管が巻かれているのでとても低いファゴットのような音が出ます。

 ルネサンス期のランケットは本体に直接リードを付ける構造でしたが、後にバロック期で管の先にリードを付けるファゴットに近い構造に変わっていきます。

クルムホルン

 クルムホルンは管の中にダブルリードが入っている楽器で、キャップを吹くと音が出る構造になっています。

ツィンク(コルネット)

 トランペットの起源となるコルネット(現在のコルネットとは別物)がルネサンス期に華形楽器として広がっていきます。 

セルパン

 セルパンはホルンのようなマウスピースを備えた金管楽器で、合唱の低音域を補うために使われたと言われています。柔らかくてまろやかな音が出ます。

サックバット

 サックバットはトロンボーンの起源になる楽器で、ルネサンス期にはほぼトロンボーンの機能は完成していたことがわかります。

ルネサンスのまとめ – バロック期へ向けて

  • ルネサンスはとにかく美しく華やかで市民が活躍できる時代だった
  • 3度、6度の響きがはじめて西洋音楽に取り入れられた
  • 対位法、和声法の起源がまとめられ始めてきた
  • 芸術音楽として自分の作品に署名する作曲家が増える
  • 声楽中心から器楽曲の普及が徐々にはじまる
  • 鍵盤楽器や管楽器の合奏などが登場する
  • 印刷技術が発達して楽譜が広まる
  • 輪唱スタイルの誕生
  • 和音と不協和音を発見する

 中世で誕生したグレゴリオ聖歌は、ルネサンスに入って和声要素が加わり、さらに器楽中心の曲が誕生するところまで進化しました。

 次はいよいよバロックの時代です。中世からバロックの中期までを音楽史では古楽と呼び、バロックの後半からはいよいよ皆さんがよく知っているクラシック音楽の時代が始まります。

 バロック以降は馴染みのある音楽家の名前が続々と登場するので少しずつ面白くなってきますよ^-^ノ

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