古典派 18世紀中頃の音楽ってどんなだったの? 古典派の西洋音楽史について

 古典派(18世紀中頃)といえば今から270年ほど前の世界です。バロック後期からはじまったクラシック音楽は古典派になって現代に馴染みのある様式へと進化を遂げていきます。

   

古典派とは

 貴族が権力を握っていたバロックの時代を抜け、古典派は市民階級の力が強くなってくる時代です。貴族や教会の権力は自由と平等を求める市民運動によって廃れていきました。

 古典派はそんな18世紀中頃から18世紀の終わり(1750~1800年)までの時代を指して呼びます。

 古典派の音楽は、市民階級による市民階級のための楽しみの音楽として、演奏会や市民向けの楽譜の出版によって発展していきます。

 この時代はウィーンを中心に音楽が進化し、ハイドン、モーツァルト、ベートーベンが古典派の代表的な作曲家として活躍していきます。

古典派のできごと

時代 出来事や時代背景

18世紀中頃
(1750年)
~

  • 対位法の時代は完全に終わり、旋律と和音伴奏のみのシンプルな音楽が主流になる。
  • 通奏低音も完全に廃止され、低音は目立たなくなり、高域の旋律はより自由に表現されるようになる。
  • マンハイム楽派が古典派の管弦楽曲の書法を確立。
  • 一般市民へ向けた公開演奏会が増え、貴族や教会だけでなく、多くの市民が音楽を聴ける機会が増える。
  • 一般市民によって演奏が楽しまれるようになり、楽譜出版産業が栄える。
  • ウィーンを中心に有名な音楽家が続々と現れ、音楽都市として発展し始める。
  • ソナタ形式が誕生する
  • ソナタ形式の楽章を取り入れたソナタが誕生する
  • ソナタで書かれた管弦楽(交響曲)や弦楽曲(弦楽四重奏)が誕生する。
  • ハイドンによって作曲家が演奏会で経済利益を得るシステムがはじまる。
  • ハイドンの演奏会向けのジャンルとして交響曲が普及する。
  • 楽譜出版ではハイドンの弦楽四重奏が大成功を果たす。
  • モーツァルトが神童として多くの作曲家に影響を与える。
  • ピアノが発達してピアノソナタが誕生する。
  • ソナタの第三楽章は宮廷舞踏のメヌエットが主流だったがべートーベンによって、スケルツォを取り入れ、これまでの貴族世界とは無縁の世界観が作られる。
  • ハイドンやモーツァルトの交響曲では第一楽章を最も重みのある構成にしていたが、ベートーベンの交響曲では第一楽章から最終楽章に向けて重みを増していく作品が多かった。
  • ベートーベンの作風が他の作曲家にも徐々に取り入れられていく。
  • 古典派の音楽はこれまでの多声的なポリフォニーから完全にホモフォニー中心の音楽になった。

古典派に活躍した音楽家

有名な音楽家
  • カール・フィリップ・エマヌエル(1714~1788年)
  • ハイドン(1732〜1809年)
  • ゴセック(1734~1829年)
  • ヨハン・クリスチャン(1735~1782年)
  • マルティーニ(1741~1816年)
  • ポッケリーニ(1743~1805年)
  • モーツァルト(1756~1791年)
  • ベートーベン(1770~1827年)
  • パガニーニ(1782~1840年)
  • ウェーバー(1786~1826年)
  • ロッシーニ(1792~1868年)
  • シューベルト(1797~1828年)

ソナタ形式の誕生

 古典派の時代になってようやくソナタ形式の音楽が誕生します。

 ソナタ形式とはそれぞれの意味を持った複数のパーツからなる音楽形式で主に次のような構成になっています。

主調が長調のとき

序奏部 提示部 展開部 再現部 コーダ(終結部)
序奏 第一主題 第二主題 主題を展開 第一主題 第二主題 終結部
主調 属調 自由な調 主調

主調が短調のとき

序奏部 提示部 展開部 再現部 コーダ(終結部)
 序奏 第一主題 第二主題  主題を展開 第一主題 第二主題  終結部
主調 平行調 自由な調 主調 主調・(同主調)  主調

2つの主題について

 ソナタで重要なのは2つの主題です。提示部の第二主題は第一主題から転調されることになっていて、第一主題が長調の場合は属調(完全5度上)、第一主題が短調の場合は平行調へ転調します。(再現部では主調が短調の時は同主調を使う場合があります)

 このように、ソナタ形式には最初に対立していた2つの主題が再現部で調の対立が解消されて和解される(つまりそこには物語がある)という意味合いが込められています。

ソナタの誕生

 「ソナタ形式」と「ソナタ」はよく混同されがちですが、ソナタとは3~4楽章で構成された、ソナタ形式の楽章を1つ以上含んだ器楽曲のことです(ソナタにはもともと器楽曲の意味がありました)。と書きましたが、実はより多い楽章や少ない楽章で構成されたソナタも存在します。

  • ソナタ形式:曲の形式
  • ソナタ:ソナタ形式の楽章を1つ以上含んだ3〜4楽章の器楽曲

 古典派になると、ソナタ形式の誕生に伴って、ソナタ形式で書かれた楽章を含めた3〜4楽章からなるソナタというジャンルが生まれます。

ソナタの構成

 交響曲と弦楽四重奏の構成は、古典派からロマン派にかけて少しずつ組み合わせが変わっていきますが、概ね次のような3~4楽章からなる構成で少なくとも1つの楽章にソナタ形式の楽章が含まれます。

  第一楽章 第二楽章 第三楽章(略可) 第四楽章
形式 ソナタ形式 ・ソナタ形式
・三部形式
・変奏曲など

・メヌエット
・(スケルツォ)
・(ワルツ)

・ソナタ形式
・ロンド形式
・(変奏曲)
曲調 速い演奏(Allegro)  情緒的で緩やかな演奏  三拍子系の舞曲 速い演奏 

 第三楽章については、ハイドンやモーツァルトはメヌエットを用いた貴族音楽の名残を感じさせるものを多く残している一方で、後にベートーベンによってスケルツォが取り入れられるようになり、ソナタの幅が一層広がっていきます。

 ちなみに余談ですが、ソナタは全ての楽章が揃って1曲という扱いになります。

 楽章と楽章の間の空白も音楽と考えるので、演奏会でも楽章の途中には拍手をせずに最後の楽章が終わって(1曲が終わって)から奏者に拍手を送ります。

ハイドンによる交響曲・弦楽四重奏の普及

 古典派の初期といえば、ハイドンが大活躍した時代です。

 これまで作曲家は宮廷に仕えてお金をもらって生活をするというのが一般的なスタイルでしたが、ハイドンは自ら公開演奏会を開いて市民にチケットを売ってお金をもらうという、当時の作曲家にとって新しいシステムを作りました。

 そして、交響曲や弦楽四重奏というジャンルは、ハイドンがそんな演奏会や楽譜出版のために作りだしたジャンルとして普及しました。

 その後の弦楽四重奏の基礎となった有名なロシア四重奏曲(Op.33)という作品があります。

交響曲・弦楽四重奏とは

 単にオーケストラで演奏されていたり、4つの弦楽器を使っただけでは交響曲や弦楽四重奏とは呼びません。

 これらは、3〜4楽章からなるソナタで書かれたときに、はじめて交響曲・弦楽四重奏と呼ぶことができます。

  • 交響曲:管弦楽によるソナタ
  • 弦楽四重奏:Vn1、Vn2、Vla、Vcの4本によるソナタ

 ピアノ・ソナタの誕生

 ピアノが発展してくるとピアノによるソナタ、ピアノ・ソナタが書かれるようになってきます。有名なものではベートーベンによる悲愴ソナタ(Pathethique Op.13)(1799年)があります。

古典派のまとめ – クラシック音楽最後の時代ロマン派へ

  • 18世紀中頃〜18世紀の終わりまでの時代
  • 貴族の時代が終わって市民が気軽に演奏会を聴けるようになる
  • 対位法の時代は完全に終わって和声法による作曲に変わる
  • バロックの通奏低音スタイルも廃れていく
  • ソナタ形式とソナタの誕生
  • 交響曲・弦楽四重奏の誕生
  • ハイドン、モーツァルト、ベートーベンの3大巨匠が活躍する時代
  • ピアノが発達してピアノ独奏曲やピアノソナタが作られるようになる
  • これまでの宮廷に仕える作曲家から演奏会や出版で収入を得る作曲家に変わる

 今日のように気軽に演奏会を聴きに行ける時代はこの古典派から始まり、作曲家の収益システムが大きく変化していきました。

 クラシック音楽の技法の基礎はこの古典派でほぼ完成し、ロマン派からは徐々に自由な独創性が曲に取り入れられるようになり、曲の多様性が増していきます。

 次回はそんなロマン派の音楽についてみていきましょう^-^ノ

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