歌ものストリングスアレンジってどうやるの? 編曲のコツや学習方法のすべてを紹介!!

 歌もの曲を作っていると豪華なストリングスを入れたいことがあります。

 でも歌もの用のストリングスアレンジに関しては詳しく書かれた本も少なく、情報がなくて困っている方も多いのではないでしょうか?

 そこで今回は、インスト向けではなく歌もの向けのストリングスアレンジのコツや、実際にできるようになるために何を学習していけば良いのか? ストリングスアレンジのすべてを紹介していきます^-^ノ

 
 

ストリングスアレンジの楽器構成を決める!

 ストリングスアレンジを考える際に、まずはアレンジしたい元曲の楽器構成を眺める必要があります。

アレンジしたい元曲にエレキベースが入っている場合

 エレキベースというのは、元々コントラバスの代用として作られた楽器なので、ストリングスアレンジをしたい曲にエレキベースが入っている場合にはコントラバスは使わないのが一般的です。

 その場合、新たなストリングスアレンジ部分では「バイオリン.1st」、「バイオリン.2nd」、「ビオラ」、「チェロ」の4パートを使って仕上げていきます。

エレキベースが入っていない場合

 ピアノとアコースティックギターが中心のバラードなど、エレキベースを使用しない曲の場合にはコントラバスも含めた5パートで組んでいくのが一般的です。

 ただし、コントラバスはあくまで「バスの補強」部分なので、必要がなければ使わないという手もあります。

  • エレキベースを使用する場合は「バイオリン.1st」、「バイオリン.2nd」、「ビオラ」、「チェロ」の4パートを加える。
  • エレキベースを使用しない場合は「バイオリン.1st」、「バイオリン.2nd」、「ビオラ」、「チェロ」、「コントラバス」の5パートで考える。

楽器の配置や人数にも注目してみよう!

 大勢のストリングスを配置する際の並びや人数はオーケストラと同じように行います。

 編成は一般的な2管編成の場合はストリングスだけで40名ほどになります。

 一方で、小さな部屋でバンドをサポートをする少人数編成であれば、4~12名程度で編成を考えます。

ストリングスの編成と人数

ストリングスの編成と人数
Vn.1st Vn.2nd Vla Vc Cb
 2管編成(一般的) 12人 10人 8人 6人 4人
 3管編成 16人 14人 12人 10人 8人
 1管編成 8人 6人 2人 2人 2人
 小編成 4人 4人 2人 2人 0~1人

大人数の場合大きなホールを想定したミックスを心がける

 大編成のストリングスを使う場合は、小さい部屋には入り切りませんよね?

 大編成の音色を使用する場合はミックスでも大きな部屋を想定してミックスすると良い仕上がりになります。

  • ストリングスは編成によって人数が異なる。
  • 少ない人数では音がはっきりとしていて人数が増えるとぼやけた音になる。
  • 小さい部屋には大編成は入れないのでミックス時に気をつける。

実は、ストリングスアレンジに絶対的な決まりはない!?

 まず最初に、ストリングスアレンジを難しいと感じている方のために説明すると、ストリングスアレンジには”こうしなければならない”という絶対的なルールはありません?

 ストリングスアレンジを行うにあたって、まずは次のような固定観念を捨てることからはじめましょう。

こんなルールはない!?

  • 常に4つ(5つ)の弦楽器をすべて鳴らさなければならない。
  • 4つパートを使うなら必ず4声で和声法を組まなければならない。
  • 2声や3声だけで和声を組んではいけない。
  • チェロやビオラだけがアルペジオみたいな動きをしてはいけない。
  • ストリングスだから長く伸ばすフレーズしか作ってはいけない

 な〜んてルールは一切ありません💡

 大事なことは1つ!

Point!

その瞬間に必要な音を出せる楽器の組み合わせを上手に考えること

 弦楽器は別に一度にすべて鳴らす必要はないんですよ💡別にチェロだけでアルペジオを演奏する箇所があっても良いし、バイオリンだけでずっとコードが変わっても高音で同じ音を鳴らし続けても良いのです💡

 必要があれば楽器をユニゾンで重ねたり、オクターブで重ねて音を作りだすことも、欲しい音があるからやるのであって、そうしなければいけないわけではありませんよね💡

 すごく基本的なことで、スコアを眺めていれば当たり前のことなのですが、こうやって言葉で説明されている場面がなかなかないのでストリングスアレンジに難しいイメージを持ってしまう人が多いのだと思います。

  • まずは難しいという固定観念を捨てよう!ストリングスも役割は他の楽器と同じ!
  • 実は、そんなにガチガチなルールはない。
  • その瞬間必要だと思う音を、楽器をどう組み合わせて作るかを考えることが大切。
Yugo

さて💡それを踏まえた上で、よく使われる組み合わせなどを覚えていくと実践で役立ちそうですね💡

ストリングスアレンジでよく使われる手法

 すべて自由に!と言われるとどうしたらよいか迷ってしまいますので、ストリングスアレンジでよく使われる手法を知っておきましょう。

イントロや間奏部分のメロディを担当する

 イントロや間奏部分でストリングスがメロディを担当する場合があります。

 よく使われるのは「バイオリン1stのソロ」、「チェロのソロ」や、それに2ndやビオラを重ねてユニゾン、オクターブで音色を作っていくことがあります。

 それでは音色作りに使われなかった楽器はどうするのか?それは休ませておいて使わないのもOK、途中からハモらせて入ったり保続音として入れたり、アルペジオで入れたり、自由に使うことができます。

 大切なのは、どう使わなければいけないかではなく、どのような音色が欲しいかです💡

メロディの対旋律を担当する

 歌もの曲のストリングスアレンジで誰もが是非やってみたいと思うのはこの対旋律作りではないでしょうか? 歌の対旋律として入れたり、イントロ・間奏部分で他の楽器のメロディに対してストリングスで対旋律を付けるアレンジです。

 対旋律といっても旋律(メロディ)ですから、基本的には先ほど紹介したメロディアレンジと楽器の選び方、使い方は同じです。

「メインメロディ」や「バス(ベース)のメロディ」を邪魔しないように上手にもう一つのメロディを作るためには「対位法」という手法を学習しましょう。近年ではコード進行から対旋律を組み立てていく「自由対位法」が主流で簡単に学習できるのでおすすめです💡

 気軽に対位法を学ぶなら「世界一簡単な対位法!? 和声的な自由対位法を使ってメロディに対旋律を付ける方法!!」のページをご覧ください。

世界一簡単な対位法!? 和声的な自由対位法を使ってメロディに対旋律を付ける方法!!
 超謎解き!DTM探検!!第5回は「メロディにバスの対旋律を付けてみよう!!」について紹介していきます!!  タイトルに対位法と付いて...

 ちなみに上のページでも紹介していますが、対旋律をうまく作ると対旋律自体が曲の間合いを埋めるフィルインの役割も果たします💡

単音・和音を様々な形で演奏する

 単音を長く伸ばしたり短く刻んでみたり和音を長く伸ばしたり短く刻んでみたり、さらにはオスティナートといってアルペジオのような動きすることもあります。

 オスティナートが使われている例はクラシックになってしまいますが、リムスキーのシェヘラザード曲中で海の波の表現として使われているのが有名ですね💡

 近年のストリングスアレンジの基本スタイルがたくさん含まれているので是非第一楽章だけでも聴いてみてください。

  • イントロや間奏部分のメロディをストリングスが担当する。
  • 対旋律やフィルインをストリングスが担当する。
  • 単音・和音の演奏(白玉、刻み、オスティナート)などを担当する。

ストリングスらしい美しい動かし方

 ここからは、ストリングスがストリングスらしく活き活きと演奏するためのストリングスの動かし方について紹介していきます。

(1)メロディの動かし方について

 まず、当たり前のことを一応触れておきましょう💡 メロディとは「作者の意思で意図的に作られているもの」です。

 なのでこの後に登場する手法に関係なく、自由に作れるものだと覚えておいてください💡

(2)動かし方の基本は「順次進行」と「コード構成音による跳躍進行」

 このように、ストリングスの動きは「長短二度」の順次進行の部分と、コード構成音上を跳躍する跳躍進行の部分、2種類の動きが基本となります。

(3)大きく跳躍する場合は「駆け上がり」や「ポルタメント」でうまく繋ぐと途切れなくてスムーズな演奏ができる

 長短三度程度の跳躍であればあまり途切れる印象はありませんが、4度、5度、6度、オクターブ程の跳躍になると演奏が途切れてスムーズでなくなります

 もちろん敢えて繋がない箇所も出てきますが、なるべく演奏を途切れさせたくない箇所ではこのように順次進行やポルタメントで繋ぐことで流れを損なわずに幅広い音域を行き来させることができるという手法を覚えておきましょう。

 ちなみに、サビの前などアクセントとして駆け上がりを目立たたい場合にはこのように2段階にして時間を稼いで大げさに持ち上げる方法もあります。

 上の例では前半は16分音符、後半は6連符で繋いでいます。

  • 動かし方の基本は「順次進行」と「コード構成音による跳躍進行」
  • 大きく跳躍する場合は駆け上がりを使って順次進行に仕立てたり、ポルタメントで滑らかに繋いで演奏の流れを損なわないようにする。
  • 主メロディの場合はこれらのルールは一切忘れる。

 ストリングスらしさを演出する動かし方のポイントはこれだけです💡

 この動きに、先ほど紹介した対位法を使った対旋律を合わせ、さらにストリングスの奏法をどんどん加えていけば完璧なストリングスアレンジが完成します。

 そうなると、今度はストリングスってどんな奏法があるの?という疑問が生まれますね!?

 もちろんそちらもしっかりサポートします💡「ストリングス(弦楽器)の奏法にはどんなものがある? DTMではどうやって表現したら良いの?」の記事で奏法の種類からDTMで再現するための方法まですべてを紹介しています。

ストリングス(弦楽器)の奏法にはどんなものがある? DTMではどうやって表現したら良いの?
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ストリングスアレンジはどのように学習していけば良い?

 ストリングスアレンジで一番大切なことは、メインメロディやバスメロを邪魔しないように仕上げていくということです。

(1)メロディを邪魔せずに引き立てる対位法はやっぱり大切!

 そのために何を一番最初に学習するかと言えば、やっぱり対位法から始めていくとストリングスアレンジの全体像が見えてくるようになってきます💡

(2)対旋律をストリングスらしく動かせばOK!

 対位法を習得して対旋律が付けられるようになれば、あとは先程紹介したようにストリングスらしく動かしてあげれば、大抵の歌ものでは不自由のないレベルに達します。

 ここまででくればストリングスアレンジの基礎は達成していると言えます💡

(3)多くの奏法や仕組みを覚えてもっと表現の幅を広げる!

 基礎を脱してさらに多くの奏法を取り入れられるようになると、今までの単調な演奏に表情が現れるようになります。

 場面ごとの細かい表現力や勢い、軽やかさなどを自由にコントロールできるようになるのはこのあたりからです💡

(4)余裕があれば4声を綺麗に響かせるための和声法を学習する!

 最初に書いた通り、ストリングスアレンジでは4声を常に鳴らす必要はありません。ということで、4声を使って学習する和声法はこの段階になってからでも遅くないのです。

 和声法を覚えると、各声部の繋ぎ方が滑らかになるのはもちろん、曲の流れを通して無理のない響きを作れるようになります。

 といってもこれはあくまで「4声以上でアレンジする部分」の話ですので、はじめはあまり触れずに、多くの要素を自由に動かして表情を付ける練習を行っていきましょう💡

ストリングスを使ったアレンジ方法のまとめ

  • まずはエレキベースあり・なしでストリングスの編成を考えてみよう。
  • 次に曲の規模からストリングスの人数・演奏する部屋のサイズを考えてみよう。
  • DTMでパン振りをする場合には、オーケストラの配置を参考にしてみよう。
  • ストリングスの各パートをどのように使うかは自由!まずは難しく考えずに自由に使ってみよう。
  • 「どんな音が欲しいのか」という目的によって使う楽器の組み合わせを選ぶことが大切!
  • ストリングスがよく使われる用途は「イントロや間奏のメロディ」、「対旋律」、「単音・和音を様々な形で演奏する」などがある。
  • ストリングスアレンジでは、基本的に「順次進行」、「コード構成音による跳躍進行」で旋律を動かす。
  • 大きく跳躍する場合は「駆け上がり」や「ポルタメント」を使って滑らかに繋いで演奏の流れを損なわないようにする。
  • ストリングスアレンジを自在にこなすには対位法を習得することがとても大切!

 管弦楽法の本はあっても、このような歌もの向けのストリングスアレンジに関してはなかなか見かけることがなかったので、実際にどのような技術が必要なのか?習得するためにはどうすればよいのかについてポイントを絞って紹介しました。

 対位法、ストリングス奏法など、各分野から総集編のように知識を摘んできて最低限ストリングスアレンジが作れるような内容にしても良かったのですが、やっぱりそこは、それらの知識がどういった分野の学問発祥なのかをしっかり知った上で、学ぶ時は各分野ごとに学んだほうが確実に良い知識として定着します💡

 そんなわけで、今回はストリングスアレンジの展望と、本格的に学び始める前に惑わされないためのクッション、そして実際に深い知識を得るための別記事を載せておきました^-^ノ

 本格的なストリングスアレンジをスタートしたい方はまずは下の2記事へGO♪

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