今回は知っていると作詞力がグッとUPする、文字数によって作詞の印象がこんなにも変わる?!知っておきたい作詞と文字数の関係について紹介していきます。
作詞が詩や文章と違うところって、いったいどんなところでしょうか?どれも書くという作業には変わりはないですよね?!
じゃぁ何が違うかっていうと・・・作詞って書いてハイッ終わり!じゃなくて、当たり前だけど曲になり(詞が先でも曲が先でも)最終的に歌われることなんですよね。作詞は歌詞とも呼ばれるし、歌詞って歌う詞って意味ですもんね。
そんな作詞が、実は文字数によって印象が大きく変わることを皆さんはご存知でしょうか?
特に1音に入れる文字数の変化は今と昔じゃかなり異なっていたり、また、ジャンルに関係なく文字数は時代と共に少しずついろんな変化をみせています。
では、文字数の変化によって、いったいどのような印象の違いを与えることができるのでしょうか?これから紹介していきますので、少しでも作詞をする時の参考にして頂けたら嬉しいです。
作詞と俳句は指折り仲間?俳句の勉強が実は作詞に役立つ!
単に文字数という言葉だけでまず思い浮かぶのは俳句ではないでしょうか?つい指を折って数えたくなってしまう、あの「5・7・5」です。
作詞をする時も指を折って数えるがあるから、けっこう近い仲間ともいえます。
どちらも限られた文字数の中で多くの情景を表現しなければならない
例えば「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」とか。あ、有名どころを探したら、つい食べ物の句になってしまった(笑) ん~確かに食べるのは大好きなんだけど(笑)
食べ物じゃないのは・・「古池や 蛙飛び込む 水の音」(今度は生き物で)。
今じゃ、近くに古池も無いし、蛙もいないしで、ほぼこんな景色見られないけど、この句、池に飛び込んだポチャンって音や周りの景色までなんとなく想像できて流石だなぁ~と思ってしまいます。
つまり作詞についても俳句についても、どちらも限られた文字数の中で如何に多くの感情や景色を、実際には見ていない人たちへ伝えるということが大切で、そこを磨くことが上達の秘訣となります。
作詞はこんなところからも学べる?
実は最近、TV番組の「プレバト」の俳句が面白くて毎週観ているんですが、講師の俳人「夏井いつき」さんが添削すると、どんな俳句でも劇的に変化して、もう俳句ってなんてスゴイんだ!と毎週唸っちゃいます。
助詞(てにおは等)の使い方など作詞に活かせるネタも多々ありもう見逃せません。
作詞は1番、2番、3番まで同じ文字数?最近は例外もある!?
さて、作詞の場合の文字数についてなのですが、まず気にしなければいけないのは、演歌でも歌謡曲でもPOPSでも1番だけじゃなく2番もあるってことです。
演歌等は3番まであったりするし、そうなると否応なく1番2番3番、それぞれの文字数が同じという制限の中で可能性を膨らませて作詞をしなければなりませんよね?
どんなに自分がこうじゃなきゃヤダって書いても、1番と2番で文字数があまりにも違いすぎるのは共通点がなくなってしまったりNGなんじゃないかなぁ~と思ったりしませんか?
1音に1文字を入れるのが作詞の基本!まずはここから!
一昔前には、作詞をするときは1音に対して1文字を当てはめるというのが当たり前という時代がありました。
そして現在の多くの曲でもやはり1音に1文字というのは基本的な作詞方法として外せません。
フレーズ毎の1文字や2文字くらいの多いとか少ないとかなら詰め込んだり伸ばしたりして作曲家さんがなんとかしてくれますが、でも、ピタッと同じにするのが先ずは基本だし、そのほうがスッキリ気持ちいいし、そこが作詞をする時の頑張りどころでもあります。
コレはパズルだって言い聞かせるとグッと楽しくなって、さらにピタッてはまった時の快感はもうなんとも云えなく嬉しくなります。
あとは既存の曲を思い浮かべてみたり、その歌詞を検索してみたりすると、ほぼ一緒なのが納得できるし、それを確信できます。
最近は例外もある?
ただ最近はイレギュラーなものも増えてきていて、1番と2番でメロディごと変えてしまったり、詰め込んだ言葉をラップにしちゃうことも多々あるので、少しずつ変わってきているのかも知れません。
なので、基本はしっかり抑えつつ、柔軟な気持ちで時代の流れにも対応することが必要になってきているといえます。
1音に入れる文字数で作詞した曲の印象がガラッと変わる?!
次に作詞の文字数として思い浮かべるのは1音に入れる文字数の移り変わりです。
先程も書きましたが、かなり昔は1つの音符には必ず1つの文字というのが鉄則でした。
ところが英語の曲がどんどん聴かれるようになり、そういう語感を日本語に取り入れたサザンオールスターズやミスターチルドレン等の台頭により、それが徐々に徐々に変わっていって今では当たり前のように1つの音符に複数の文字が入るようになりました。
つまり、日本語の捉え方が英語的になってきたのです。
日本語が英語的になってきた一例
例えば、サザンの「勝手にシンドバット」という楽曲の中で言うと「さっ/き/ま/で」という言葉は(タ/タ/タ/タ)で4音ですよね?
昔だったら、小さな「っ」も1音に数えていたので5音と数えて作曲されていました。
またミスチルで言うと、例えば「Everything(It’s you)」という楽曲の中の「せ/けん/し/ら/ず」という言葉は(タ/タ/タ/タ/タ)で5音ですよね?
これも昔だったら、「ん」も1音で数えていたので6音と数えて作曲されていました。
今はかえって「っ」や「ん」を1音としないほうが違和感を感じなくなってますよね?そのほうが耳心地がいいと多分誰もが感じてきているのかもしれません。
1音の文字数で曲の年代感も表現できる?
たまにかなり昔の曲がどっかから聴こえてきたりすると、なんだかものすご~く間延びして聴こえたりしませんか?これは、曲の速さもありますが、1音に1文字しか入れないことも理由のひとつです。
時には3音に1文字だったりもして、今じゃ促音(小さい「っ」)や拗音(小さい「ゃ」等)が付くのは、何の違和感なく1音に数えられるようになってきています。
ただし、撥音(「ん」)は今も時と場合により1音だったり2音だったりで使われます。
1音に入れる文字数を工夫するだけでも、古くからある日本らしさを演出できたり、英語歌詞のような勢いを演出することができるだけでなく、曲の時代感まで演出することができるのですね。
演歌は七五調だけ?
次に演歌を作詞する場合の文字数のお話をしますね。
作詞の中でも、演歌は特に俳句っぽいなと前々から感じてはいました。それは、俳句も5文字と7文字で構成されているし、演歌もほぼほぼ七五調(5文字と7文字で構成)で書かれているからです。
例として以前創った演歌(詞先)を書いてみますね。
七五調で書かれた演歌歌詞の例
「とうに忘れた ぬくもりが こんな夜には 顔を出す 窓打つ雨が 曇るガラスに お前の顔を 映しだす・・・」
この歌詞の構造は、「7/5/7/5/7/7/7/5」。そう、7文字と5文字ばっかりです。
でも、演歌の歌詞の中にも3文字だったり4文字だったり、6文字だったり8文字だったりと、七五調以外のものがもないわけじゃありません。
七五調以外で書かれた演歌歌詞の例
「夜更けに 目覚めて 静けさに 寂しい 素肌を 抱きしめた」
(4/4/5/4/4/5)これは曲が先にあり(曲先)、それに詞を書いたので、書いた時も今も七五調以外でも全く違和感はなかったです。
これからは伝統的な作風も頭に入れつつ、こういうふうに自由な文字数(2番も3番も同じ文字数)のものも発想して増やしていくのもおもしろいですね。
POPSは語呂を優先?
歌謡曲やPOPSの文字数はもっともっと自由です。そして、ほとんど曲が先にあり、それに作詞をするというパターンなので、文字数は曲次第で多くなったり少なくなったりいろいろなパターンがあります。
また、歌いやすさが要求されるので、特に語呂が大切です。その為には、韻(頭韻や脚韻)を踏んだり、英語のフレーズを入れてみたり、より歌いやすいようによりメロディーに添うように創る事を心がけましょう。
韻を踏んだ例
例えば、韻を多用して語呂を大切に書く場合は、
- 愛せるんだ – 許せるんだ
- 絡まる – 絡める
- 皮膚は – ヒーター
のように音の共通点を見つけながら書いていくと頭に残って覚えやすい歌詞に仕上がります。
英語を混ぜた例
英語を交ぜて書くと、
- feel down
- どんな日でもAnyway 明日がある
のように英語を加えることで、英語独特の流れができて歌いやすいフレーズが生まれることがあります。これは曲や歌うアーティスト次第で、いろいろ工夫することが大切です。
作詞した歌詞を保存するときの行数は決まってるの?
今度は作詞した歌詞を保存したり印刷して人に渡すときの行数について考えてみましょう、行数はジャンルによってもかなり違いますが、歌詞を眺める人が読みやすい行数を心がけることが大切です。
童謡や演歌はワンコーラスで4~6行の作品が多い!
童謡や演歌は1番で4行から6行が多く、自分の場合も過去のものも合わせて調べてみたところ、4行~10行までありました。
歌われるのが前提なので、ゆっくり目な曲が多い演歌は6行くらいが標準と云われていて、1行では多くても14文字(7+7)くらいになります。
歌謡曲やPOSではワンコーラスで8~12行の作品が多い!
また歌謡曲やPOPSは文字数にも行数にもあまり縛られずに作られていることが多いです。8行~12行の作品が多く、1行に30文字以上という作品も多々あります。
どんなに長い歌詞でもA4サイズの用紙1枚に収まるように書く!
作品によっても1行あたりの文字数がかなり異なることがわかりましたが、それは何故かと言うと、どんなに長い曲への作詞でもA4サイズの用紙1枚に収まるように書いているからなんです。
これは、見てくれる相手の負担を考え、歌詞を見やすくする基本で私も実践しています。フォントの大きさや余白等々をいろいろ工夫することも見やすくするために大切です。
どこかに提出する時、又はコンペ等で誰かに見せる時、2枚にわたると読みづらいし、「あ、2枚か・・めんどくさいなぁ~読みづらいな~」と思われたらもったいないですよね?
どこかに提出される時は、ぜひ1枚にまとめて完成させましょう。
※ただし、CDのブックレットや歌の本等に載っている作詞(歌詞)はデザインも考えて載せるのでデザインの配置次第で行数、そして1行の文字数もあえて変わってきます。
キラーフレーズを活用して歌詞を心に届けよう!
ここまでに作詞の文字数についてお話してきましたが、最近、人が集中できる時間がどんどん短くなってきているという話を聞きました。(そういえば、お料理でも1分動画が大人気なんですよね)
私も夕飯のメニューを思いつかない時に作り方の動画をついつい見ちゃいます。
あれ?そう云えば1分なのに全然短いと感じなかったなぁ。1分ってこんなに長いんだってビックリするくらい。
そんな集中力の短くなっている時代に、巷で山ほど溢れる音楽の中、どんな文字数であれ、メロディーだけじゃなく、音に乗った言葉を、その言葉を文字数で繋いだ作詞を、例えワンフレーズでも誰かの耳に届けるのはものすごく大変なことなんじゃないかなと思います。ましてや心にまで届けるのはもっともっと大変ですよね。
そこで、登場するのが「キラーフレーズ」です。
キラーフレーズとは?
よくコンペ(作詞の募集)の応募要綱に「キラーフレーズがあると嬉しい」とあったりします。
作詞でのキラーフレーズというのは、何気なく聴いていても耳が持っていかれてしまうような、ついついハッとするような言葉やフレーズのことです!
そう言われてもなかなか思いつかなかったり、思いついても、それが本当にキラーフレーズになり得るのか、半信半疑になったりしちゃうんですけど。次の例を見てみましょう。
キラーフレーズが偶然生まれた瞬間!
曖昧 = I MY(アイマイ)?
採用してくださった方がすごく気に入ってくれたフレーズがあって、それってつまり、キラーフレーズなのかな~と思いました。実は、そこにも文字数が大いに関わってきていたんです。
それを採用された時(タイトル「曖昧MOON」)の裏話を少しすると、コンペに提出した時、タイトルになっているこのフレーズ、最初は5音(あ・い・ま・い・MOON)につけたものだったのです。
その後、修正依頼が来て、3音(あい・まい・MOON)にすることになって。
考えてみると、3音のほうが絶対リズミカルだし、3音にする事で「あい・まい」は「曖昧」にも「I MY」にも聴こえるんですよね。
まさに英語的!!
そっか、作詞において音に乗せる文字数ってすごく大事なんだなぁ~と改めて思ったできごとでした。
文字数を意識して書いてみよう!のまとめ
|
書くことが大好きで、作詞が音に乗る言葉が大好きでしょうがない人は私も含め、焦らず諦めず時代に負けず、一言でも誰かの耳を傾けさせるような「言葉」を「フレーズ」を「作詞」を目指して頑張らなきゃ!!ですよね。
届いた時のたまらなく幸せな瞬間を味わう為に。その為にも、ぜひ文字数を作詞の様々な場面で意識してみて下さい。
今までとひと味もふた味も違う作品になるはずです。
お互い頑張りましょう!