今回は移調楽器の実音早見表と、なぜ移調楽器が誕生したのかについて紹介していきます。
オーケストラでいろいろな楽器を眺めていると「B♭」や「A」、「F」などがついた楽器を見かけます。これらは「移調楽器」といって記譜の音と実音が異なる楽器として知られています。
例えばクラリネットのB♭管を吹くと記譜よりも長2度下の音がなります、これは例えば記譜上でCの音を演奏するとB♭の音がなるといったものです。
そこで皆さん口を揃えていう言葉は大抵「なんでこんなややこしいものが誕生したの?」です。確かにややこしいので今からでもやめましょう ・・・と、というわけにもいかないので誕生の秘密を知っておきましょう。
実音と記譜の早見表(楽器一覧)
DTMにも活用できる移調早見表(楽器一覧)を作りましたので活用してみてください。
※下記表で「実音」の欄はスコアを楽器で演奏した際に発音される音の音程が記してあります。
※「DTMでの移調設定」では、実際にスコアを見ながら入力する際に、トラックの移調設定をどれだけずらすことで実音を発音できるかしるしてあります。
楽器 | 実音(記譜からの高低) | DTMでの移調設定 | |
---|---|---|---|
木 管 楽 器 | Picc | 1オクターブ 高い | + 12 |
Fl | – | – | |
Ob | – | – | |
Cor A (in F) | 完全5度 低い | – 7 | |
Cl (in B♭) | 長2度 低い | – 2 | |
Cl (in A) | 短3度 低い | – 3 | |
Cl (in E♭) | 長6度 低い | – 9 | |
B.Cl (in B♭) | 1オクターブと2度 低い | – 14 | |
Bn | – | – | |
Dbn | 1オクターブ 低い | – 12 | |
S.Sax (in B♭) | 長2度低い | – 2 | |
A.Sax (inE♭) | 長6度 低い | – 9 | |
T.Sax (inB♭) | 1オクターブと長2度 低い | – 14 | |
Bar.Sax (inE♭) | 1オクターブと長6度 低い | – 21 | |
金 管 楽 器 | Hrn (in C) | – | – |
Hrn (in B♭) | 長2度 低い | – 2 | |
Hrn (in A) | 短3度 低い | – 3 | |
Hrn (in A♭) | 長3度 低い | – 4 | |
Hrn (in G) | 完全4度 低い | – 5 | |
Hrn (in F) ※ | 完全5度 低い | – 7 | |
Hrn (in E) | 短6度 低い | – 8 | |
Hrn (in E♭) | 長6度 低い | – 9 | |
Hrn (in D) | 短7度 低い | – 10 | |
Hrn (in D♭) | 長7度 低い | – 11 | |
Trp (in A♭) | 短6度 高い | + 8 | |
Trp (in G) | 完全5度 高い | + 7 | |
Trp (in G♭) | 減5度 高い | + 6 | |
Trp (in F) | 完全4度 高い | + 5 | |
Trp (in E) | 長3度 高い | +4 | |
Trp (in E♭) | 短3度 高い | + 3 | |
Trp (in D) | 長2度 高い | + 2 | |
Trp (in D♭) | 増1度 高い | + 1 | |
Trp (in C) ※ | – | – | |
Trp (in B) | 減1度 低い | – 1 | |
Trp (in B♭)※ | 長2度 低い | – 2 | |
Trp (in A) | 短3度 低い | – 3 | |
Trb (in E) | – | – | |
Trb (in B♭)※ | – | – | |
Trb (in F)※Bass | – | – | |
Euph | – | – | |
Tub | – | – | |
打 楽 器 な ど | Timp | – | – |
Gl | 2オクターブ 高い | + 24 | |
Xyl | 1オクターブ 高い | + 12 | |
Mar | – | – | |
Camp | – | – | |
Cel | 1オクターブ 高い | + 12 | |
Hp | – | – | |
弦 楽 器 | Vln | – | – |
Vla | – | – | |
Vlc | – | – | |
Cb | 1オクターブ 低い | – 12 |
移調楽器はなぜ誕生したの?
読者のみなさんがある楽器Aを覚えたので新しい楽器Bを始めてみたくなったとします。
もし2つの楽器がまったく違う運指の楽器だと混乱してしまいますね。
例えばイングリッシュホルン(F)はオーボエ(C)をそのまま大きくした構造をしていて、完全5度だけ低い音がでます。つまりオーボエに慣れた奏者がCの運指をすると5度低いFの音が鳴ってしまうのです。
そこで、イングリッシュホルンの記譜についてFの音をCの音として記譜したほうが演奏しやすいんじゃないのか、というところから移調楽器が誕生しました。
移調楽器とはいろんな楽器を演奏してみたい、という奏者のハードルを下げるために誕生したのです。
まとめ
今回は移調楽器について書いてみました、みなさんもオーケストラスコアを眺める際にはこの表を参考にしてみてくださいね^-^ノ