今回は、今海外で話題沸騰中のメーカー、Sample Modeling(サンプルモデリング)から発売されているトランペット音源「The Trumpet」について紹介していきます。
今まで金管の音源はどこか弱かったり特徴のありすぎるものが多く、みなさんも金管の音源探しには苦労されたのではないでしょうか?
そんなみなさんに紹介したいのは今ハリウッド作曲家の間で最も熱いThe Trumpetです。この音源は海外映画音楽のモックアップ用途にはもちろん、実際に劇中で流れる音楽にも使用されているお墨付きの音源です!
まだ使ったことがないという方は、かなりオススメな音源なので是非購入することをおすすめします。
The Trumpetとは
The Trumeptとは、Sample Modelingという物理モデリング音源専門メーカーから発売されているトランペットの音源です。
物理モデリング音源についてはこちらの記事をご覧ください。
サンプリング音源は収録された音の範囲内でしか表現できませんでしたが、物理モデリング音源は実際の楽器と同様に出したい音の全てを自分で作り出すことができます。
そのため、マウスでポチポチと打ち込んでいくのではなく、EWIなどのブレスコントローラーやエクスプレッション・ペダルを使用して、リアルタイムに演奏して録音するように設計されています。
入力機器をまだ持っていないという方はEWIを購入して使用することをおすすめします。
EWIとは↓のような電子サックスで、実際に息を吹き込んでリコーダーのように演奏できるMIDI入力機器です。
Sample Modeling The Trumpet とは
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ここまでくると本物のトランペットを買って演奏するのとあまり労力が変わらない気もしますが^-^;
EWIでの演奏ってすぐ上達するの?
ここで気になるのはEWIを初めて手にした人がどのくらい練習すれば自由に演奏できるレベルまで到達するのか?ということです。
これはその方の目標とするレベルにもよりますが、毎日楽しみながら3時間以上練習すれば、2年間で確実にきれいな演奏ができるレベルまで上達します。
この期間を長いと考えるか短いと考えるかは人それぞれだと思います。実際に楽器を習ったことがある方なら短いと感じるはずです💡
※ちなみにEWIをやるならバードストラップというSAX用ストラップを使うのがおすすめ!
The Trumpetには複数の楽器が収録されている
音源のパッケージを見ると、単体のトランペット音源のように見えますが、実はトランペットだけでも数本と、他にも楽器が含まれています。
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The Trumpetには次の5種類の楽器が収録されている
トランペットB♭ | コルネット | ロータリートランペット | フリューゲルホルン | ピッコロトランペット |
ロータリートランペットはあまり聞いたことがないという方もいるかもしれません。ロータリー式はドイツやオーストリアで人気のあるトランペットで、ピストン式に比べてやや篭ったやわらかい音が出ます。
トランペットとフリューゲルホルンの中間よりややトランペットよりの楽器だと覚えておきましょう。
起動したらまずCC11を入力する
The TrumpetはKONTAKT5で起動する音源です。起動するとまず「CC11が受信されていません」というメッセージが表示されるので、EWIの出力をCC11に設定した上で一度吹いてみて、使用する準備ができていることをソフトへ伝えてあげましょう。
※ちなみにソフトで使用するエクスプレッションはCC2やCC7に切り替えることもできます。
各種設定画面を開いてみよう
起動した直後の「Main View(メインビュー)」はスイッチもノブも何ないさっぱりと画面が表示されます。各種設定を行うには右下赤枠部分のプルダウンメニューから移動しましょう。
クリックするとたくさんメニューがでてきます。
ベロシティマッピング
「Vel Mapping」を選択してベロシティマッピングの設定画面へ移動します。
ベロシティマッピングはキーボードやEWIのベロシティの個体差によるばらつきを補正する機能です。The Trumpetではソフト側でばらつきを自動補正してくれる機能が備わっています。
2つのグラフ
2つあるうちの上のグラフは横軸がベロシティの入力値に対して、縦軸は実際にソフトで出力される値を表しています。初期設定では均一な直線になっています。
下のグラフ(横軸のみ)は、白くなっている箇所のベロシティが有効で使用できる状態になっていることを表しています。
ベロシティマッピングを使用する
初期状態ではベロシティマッピングはOFFになっているので、使用する際は「Mapping」を押してONに設定しましょう。
自動補正を使用する
それでは実際に自動補正を行っていきます。真ん中のボタン「Calibration(キャリブレーション)」をクリックして自動補正検出をONにします。
この状態で鍵盤やEWIを色々な強さでランダムなノートを鳴らしていってください。
続けていくと、情報が記録された箇所は、下のグラフが白色に埋まっていきます。
更に続けると、このように全てが埋まっていきます。
MIDIキーボードの種類によっては次のように埋まらない箇所が出てくることがあるかもしれませんが、何度続けても埋まらなければこの状態でも大丈夫です。
黒く抜けてしまっている箇所は前後の情報を元にソフトが自動的に修正して出力するような仕組みになっています。
補正が終了したらもう一度「Calibration」ボタンを押して、自動補正の検出をOFFにしましょう。
補正後に上のグラフをマウスで修正することもできます。
※この補正は音源を上書き保存すると次回起動した際にも適用されるので注意してください。
エクスプレッションマッピング
「Expr.Mapping」をクリックしてエクスプレッションの編集画面へ移動します。
今度はグラフが1つだけ表示されています。これはエクスプレッション(CC11やCC2)の入力値(横軸)とソフトでの出力値(縦軸)を表しています。
エクスプレッションマッピングを有効にする
エクスプレッションマッピングは初期設定ではOFFになっているので、使用する際は「Active」を押してONにしましょう。
エクスプレッションマッピングは既にブレスコントローラーを使ったことのある方ならお馴染みの設定となりますが、初期設定の直線状の設定の他に、このような曲線で設定をしたり、実際に演奏しながら好みの線をマウスで描いてみてください。
ちなみに、マウスで描くと線ががたがたになってしまうという方は、真ん中の「Smooth」ボタンを押すと線が滑らかにつながります。1回押してもまだがたがたという方は数回押してみましょう💡
各種コントローラーについて
The Trumpetには演奏や空間に関する設定項目があって、5つのパネルに分かれています。
コントローラー1(リアルタイム演奏に関する項目)
Dynamics(演奏の抑揚)
演奏の強さをCC11やCC2でリアルタイムに調整する項目です。EWIなどで直接ブレスを吹き込むとこのノブが動きます。
Vibrato Intensity(ビブラート強度)
サンプルモデリングはCC1(モジュレーションホイール)を使ってビブラートの強さを変えることができます。
Vibrato Rate(ビブラート周期の速さ)
ビブラートはゆっくりかけたり速くかけたりすることがありますが、その速さを調節します。
Attack Time(音の立ち上がり)
音が発音されてから最大音量になるまでのアタックタイムを設定します。
Release Time
発音をやめてから音が完全に消えるまでのフェードアウト時間を設定します。
コントローラー2(モジュレーションやエフェクトに関する項目)
Attack Modulation(音程の迷い)
実際の演奏でも音程は探り探り合わせていきますが、発音直後の音程のズレの大きさをここで設定できます。0にすると最初から音程が合った状態で機械的になり、値が大きくなるほど人間味を帯びた演奏に近づきます。
Transition Flutter(つなぎ目の揺れ)
実際の演奏では、楽器の音程を変えたりするつなぎ目は音にフラッターと呼ばれる震える揺れが生じることがありますが、それを再現する設定です。
値が小さいほど平坦な繋がり方をし、大きいほど揺れるように人間味が増します。
デフォルトでは100に設定されていますがメーカー推奨値は45~75になっています。
Growl(リップノイズ)
実際にトランペットを演奏するとわかるのですがマウスピースからリップがずれるとブルブルというリップノイズが生じてしまいます。
Growlではこのリップノイズを足すことができます。
Flutter Tongue(フラッタータンギング)
タンギングによるフラッター(フラッタータンギング)を再現できます。値を大きくするに従ってフラッターが増します。
Mute(ミュート種類の選択)
後でミュートの項目で詳しく紹介しますが、The Trumpetでは6種類のミュートを使い分けることができます。
この項目(CC100)では、CCの値によってこれらのミュートを選択して付け替えます。
CC100の値によるミュートの付替え
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ストレート | カップ | バケット | ハーマン | ハーマン(ステムあり) |
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コントローラー3(ピッチや時間変化など)
Dynamics to Pitch(音程の揺れ)
演奏中に音程が微妙に高くなったり低くなったりする現象を再現できます。値が小さいほど安定した演奏になり、最大値にすると初心者や酔っぱらいの演奏を表現できます。
デフォルトでは64になっていますが、バロック音楽などでは少し下げて安定した演奏にするのがおすすめです。
Random Detune(音程の迷い)
attack modulationとほぼ同じ機能ですが、音程のずれの大きさはランダムで決定されるという違いがあります。0にすると最初から音程が合った状態で機械的になり、値が大きくなるほど人間味を帯びた演奏になりますが、大きすぎるとものすごく音を外している感じになります。
Pitch Fluctuation(音程の変化量)
音程の変化量を少なくするか、多めにするかを設定します。
Vel. to Dynamics(ベロシティがアタックに与える割合)
ベロシティの値がアタック音の強弱に与えるかどうか、その割合を決めます。
この割合が大きいとエクスプレッションが0のときでも鍵盤を強く押せばアタック音だけは鳴るようになりますが、小さくするとアタックの大きさは完全にブレスコントローラーで調整するような設定になります。
Portamento Time(ポルタメントタイム)
ポルタメントタイムは初期設定ではベロシティの値によって決まりますが、CC5をポルタメントタイムの調整に割り当てることができます。
コントローラー 4(音質や音色に関する項目)
Harm. Group1,2,3 Gain
後で紹介しますが、The Trumpetには倍音をEQのようにコントロールして音色を変える機能が付いています。このコントローラーではその倍音変化をどの程度与えるかを設定します。
Harm. Form. Shift
倍音設定画面で設定した周波数を高くしたり低くしたり移動させることができます。
コントローラー5(空間に関する項目)
Early Reflections(初期反射音の設定)
初期反射の設定をすることができます。通常、他のリバーブを使用する際は0に設定します。
初期反射音って何?というかたはこちらの記事をご覧ください。
Predelay(プリディレイ)
初期反射音が到達するまでの時間を設定できます。こちらも他のリバーブを使用する場合は0にしておきましょう。
Pan(パン)
センターや左右、どの位置に音源を振るか設定します。通常は64(センター)を使用します。
Distance(距離)
マイクと音源の距離感を調節できます。数値を上げるほど音源が遠のいていくのがわかります。通常は0に設定してリバーブプラグインの方で調整していくのがおすすめです。
ミュートについて
先程少し紹介しましたがThe Trumpetではトランペット用のミュートを取り付けることができます。メニューから「Mutes」を選択してミュート設定画面へ移動しましょう。
ミュートの設定画面ではこのようにミュートの種類を選べます。
ここでは次の種類のミュートを使用できます。
ストレート | カップ | バケット | ハーマン | ハーマン(ステムあり) |
先程説明したように、CC100を使ってオートメーションでミュートのON・OFF、種類を切り替えることもできます。
CCリマッピングについて
「CC remapping」と書かれたグループでは、今まで紹介してきたCC番号を個別に入れ替えて使用するための設定を行います。
ここはデフォルトのCC番号を使用するのであれば特に触れる必要のない項目です。
Wind Controllerモード
「Wind Controller」をクリックしてウィンドコントローラーの設定画面へ移動しましょう。
赤枠部分「Use Windcontroller」をONにするとソフト全体がウィンドコントローラーに特化したモードに切り替わります。
初期設定ではダイナミクスのコントロールにCC11を使用していましたが、ウィンドコントローラーモードでは、CC2に自動的に割り当てられます。
Breath Controllerモード
「Breath Controller」をクリックしてブレスコントローラーの設定画面へ移動します。
「Use Breathcontroll」ボタンをONにするとブレスコントローラーモードに切り替わります。
ブレスコントローラーモードでも、ダイナミクス調整はCC2を使って行います(ONにした瞬間に自動的に切り替わります)。
ブレスコントローラーモードでは、CC2が0になるとノートオフになります。これは、実際のトランペットでもピストンを押しても息を吹き込まなければ音がでない状況を再現した設定です。
ポルタメントタイム
ポルタメントタイムの設定画面では、ポルタメントタイムをベロシティの強弱によって変えるか、またはCC5によって変えるか、その割合を設定できます。
トランスポーズ(移調)
トランスポーズ設定では、ノブを回して移調設定を行えます。
マイクロチューニング
マイクロチューニングでは、キーごとにチューニングを微調整できます。
チューニングを微調整したい場合にはこの画面から行いましょう💡
倍音による音色の設定
倍音設定では、倍音の量をEQのように調整できます。音源のデフォルトの音が少し明るすぎるなと思ったら少し曇らせたり、好きな音色に仕上げてオリジナルの音色を作ってみましょう。
The Trumpetのピッチベンドの深さ(Depth)を変更する方法は?
Sample ModelingのKontaktシリーズでピッチベンドホイールを動かした際に掛かるベンドの深さはどのように変えるの?という質問をいただきましたので追記します💡
Kontakt版のSample ModelingシリーズではUI(ユーザーインターフェイス)にベンドの深さを変える項目がないのですが、Kontakt自体の機能を使って深さを変更することができるので手順を見ていきましょう。
(1)Kontaktの設定画面を開く
まずは、上図のようにUI左上にあるスパナのマークをクリックしてKontaktの設定画面を開きましょう💡
(2)Group Editorを開いて「Edit All Group」をクリック
Kontaktの設定画面が開いたら「Group Editor」をクリックして開きます。
Group Editorが開いたら、「Edit All Group」というボタンがあるのでクリックして赤く点灯させましょう💡
ここまできたら、あとは「Pitch Bend」と書かれた項目の右側にあるスライダーを左右に動かすことで、ベンドホイールを動かした際のピッチベンド量を調整することができます💡
Sample Modeling The Trumpetのレビューと使い方 のまとめ!
今回はレビューを使い方を合わせてかなり長い記事になってしまいました^-^;基本的な使い方については全てまとめてみたので、既に音源を購入したよ!という方は使いこなしてあげてくださいね^-^ノ♪