ピーク、VU、RMS、ラウドネスの違いとは?

 今回はピーク、VU、RMS、ラウドネスの違いと使い方、計測するためのプラグインなどを紹介していきます。

 音量メーターにはピークメーター、VUメーター、RMSメーター、ラウドネスメーターがありますが、皆さんはきちんと違いを知って使い分けをしていますか?

 この3つの音量の違いや使い所、計測の方法を覚えて音楽や映像制作に活かしましょう^-^ノ

dBfsとdBuについて

 メーターの話をする前に、皆さんがよく使うdBという単位について、2つの単位があるという話をします。

dBFs(デジタルフルスケール)

  • DTMでよく使うdBの値。
  • 音が割れて歪んでしまう飽和レベルを0dbと規定した絶対的なレベル。

 DTMをやっている人がいつも何気なく使っている-6dBなどのdBは、実はこのdBFsという単位です。なので-6dBは本当は-6dBFsといいます。

 これは、デジタル時代になってフルスケール(最大値)まで計測する事を目的として作られたもので、DAWなどでデジタル録音をした際に、歪を生じる飽和録音レベルを0dBFsと規定することになりました。

dBu

 アナログ時代に使われていた表記で、使う人がその都度メーターをいじって決めるあいまいな単位でした。

 これから説明するVUメーターではこのdBuという単位を使用しています。

VUメーターとは

 VUメーターはテープレコーダーで録音するアナログの時代に、一番はじめに作られた音量メーターです

 先程説明したように、VUメーターは絶対的な値を示すメーターではなく、使う人が最初にオシレーターを元に値を設定して使用します。

 なので、VUメーターの0dBuは、もしかすると-14dBFsかもしれないし-12dBFsになることもあります。

 VUメーターは、0.3秒以上続く音に対して音量を測定するため、それよりも短い瞬間的な大音量については針が振れない仕組みになっていて、そのため人間の聴感に近いメーターの動きをすると言われています。

VUメーターの使いどころ

 このようにVUメーターは相対的に使用するものなので、1つの音源に使用してもあまり重宝しないメーターです。

 複数の音源をそのメーターに通した時に、どのくらいの差があるのかを針の動きを見ながら確認する用途に適しています。

VUメーターのプラグイン

 現在そこまで主流ではないのであまり種類はありませんが、次のプラグインなどがあります。

PSP TripleMeter

公式サイト:http://www.pspaudioware.com/plugins/tools_and_meters/psp_triplemeter/

Klanghelm

公式サイト:https://klanghelm.com/contents/products/VUMT/VUMT.php

ピークメーター

 アナログ時代、テープレコーダーで録音する場合には一瞬大音量が流れても音が歪んだり、プチノイズが入ることはありませんでした。

 ところが、デジタル録音では一瞬の大音量でも音が歪んでノイズが入ってしまいます。

 そこで、まずは音が歪む限界の音量はどこなのか?その地点を調べて0dBFsと規定したうえで、一瞬の最高音量も見逃さないメーターが誕生しました。

 ピークメーターはDAWを購入すれば付いているものなので、このページを見ているほどんどの方が既に持っていると思います。

ピークメーターの使い方

 ピークメーターの0dB(0dBFs)の値を超えると音が割れてノイズが入ってしまうので、レコーディングやミックス、マスタリング時には扱う音が0dBを超えないように、絶対的な音量の指標として使用します。

RMSメーターとは

 RMSメーターは人間の耳の音量感と似ているため、その点でよくVUメーターと混同されてしまいますが、RMS値は二乗平方根(Root Mean Square)によって電流の平均的な値を求めているため別物です。

 また、VUメーターがdBuの値を相対的に示すのに対し、RMSはdBFsによって常に絶対的な値を示すという違いもあります。

RMSメーターの使い方

 RMSメーターは、一定区間の平均的な音量を計測するので、人の聴感上の音圧を測るのに使用されています。

 ただし、人の聴覚は周波数帯域によって音量の感じ方が異なるという性質にまで対応することができず、ほとんど音として感じられないような低音にも大きく反応してしまうという欠点もあります。

ラウドネスメーター

 そこで、RMSの欠点を補うためにより聴感上の音量を数値化するために作られたのがラウドネスメーターです。

 ラウドネスメーターは、人が周波数帯域によって感じる音量の差を考慮した音圧を示す、今ある全てのメーターの中でも最も人の聴覚に近い値を調べることができるメーターです。

 特に映画やテレビなどの放送業界で使用することを目的に作られたので、音楽業界ではまだ使っていない人も多いかもしれません。

ラウドネスメーターの使い方

 例えばある番組AとCM、番組Bがあったとして、この3つの映像の音量に差があったら、視聴者はその都度テレビの音量を聞きやすい音量に調整しなければなりません。

 そこで、ラウドネスメーターを使って各番組の聴感上の音量を揃えるために使用します。

LUFS・LKFSとは

 ラウドネスメーターにはLUFS・LKFSという独特の単位があります。LUFSとLKFSは名前が違うだけでどちらも同じ意味で使われます。

 LUFS・LKFSはdBFsと同じように音量を測る絶対値として使用されます。

1LUFS(LKFS)の差は1dBの差に対応している

 1LUFSは1dBに対応していて、例えば-20LUFSを1dB下げると-21LUFSになります。

 1kHzのサイン波のピーク値とLUFSの値は同じで、例えば1kHzのサイン波のピークが-10dBFsのときラウドネス値は-10LUFSになります。

日本での放送基準は「平均-24LUFS±1」

 日本では、放送する際の音量基準は平均ラウドネスで-24LUFSと決められています。

ラウドネスメーターの値

 ラウドネスメーターには複数の値が表示されます、1つずつみてみましょう。

Momentary Loudness

 瞬間的なラウドネス値で、400ms単位のラウドネス値が表示されます。

Short Term Loudness

 こちらは少し時間が伸びて、3秒単位のラウドネス値を表示します。

Integrated Loudness(Long Term)

 ラウドネスメーターには再生ボタンがついていることがあります。ここには、再生ボタンを押してからラウドネスメーターを通した音源全体のラウドネス値が表示されます。

 再度計測をする場合にはリセットボタンを押して計測しなおしましょう。

Range

 1つの音源全体のラウドネスの差(最小-最大)がどのくらいあるかを表示します。

True Peak

 DAWのピークメーターで0dBFS以内に収まっていても、DA変換する際のリサンプリングによって0dBFsを超えてノイズが入ってしまうことがあります。

 それを回避できる本来のピーク値(トゥルーピーク)が表示されます。 

 トゥルーピークに使われる単位はdBTPで、デフォルトでは最大値が-1dBPになっています。

ラウドネスメーターのプラグイン

 ラウドネスメーターは最近ではDAWに付属していることも多いですが、もし付いていなければプラグインを入れましょう。みなさんおなじみのWAVESからも使いやすい機種が出ています。

WAVES WLM

まとめ

 今回紹介した4つのメーターのおさらいです。

  • VUメーター:相対的に聴感上の音量を表示。
  • ピークメーター:瞬間最大音量を表示してピークを超えないようにする。
  • RMSメーター:絶対値で聴感上の音量を表示。
  • ラウドネスメーター:主に放送用で、より正確に聴感上の音量を把握できる。

 音量を表示する目的では同じメーターですが、そのちょっとした違いを使い分けることでより作業に適した値を確認することができます。

 メーターの表示も針や数字、カラーバーだったり多種多様なので、見やすいものを選んで使うと作業がはかどりますね^-^♪