オーケストラの演奏パターンと楽器の組み合わせを覚えて作曲に役立てよう♪

 オーケストラは楽器がたくさんあるので、どの楽器がどんな動きをしているのかなかなかわかりづらいと思います。

 以前オーケストラの「曲を構成する要素について」パーツ別にまとめてみましたが、今回は具体的に楽器の組み合わせを考えながら、どの楽器がどの要素を演奏するようなパターンがあるのかを紹介していきます💡

楽器ごとの音量差について確認

 組み合わせに入る前に、オーケストラの楽器ごとの音量をもう一度確認しておきましょう💡

 楽器の種類によって出せる最大音量が違うのでしたね💡

 pで演奏する場合にはすべての楽器でほぼ同じ音量が出せるのであまり気にしなくてもよいのですが、fで演奏する時は楽器別の音量差は最大で4倍(木管と金管)にもなりました。

 ここまで確認できたら各パターンについて見ていきましょう^-^ノ

要素を優先度別に3つに分解

 まずはオーケストラでの8つの要素をそれぞれ曲の中で欠かせない優先度順に、A〜Cまでの3つのグループに分類してみました。

 メロディ・バス (A)和音 (B) 装飾 (C) 
  • メロディ
  • バス
  • ハモリ
  • ユニゾン
  • オクターブ
  • 対旋律
  • ペダルポイント
  • 白玉
  • リズム 
  • オスティナート
  • フィルイン
  • パーカッション

 表を見るとほぼ「メロディ・バス」のグループに何の楽器を使うのかが重要だということが目に見えています^-^;

 ※この表の用語がわかりにくかったら最初に紹介した記事を読んでみてね。

3つの要素を優先度順に曲として組み立てる

曲の組み立て方は次のような順番になります。

(1)メロディ・ハモリ・ペダルポイントに使う楽器を選ぶ

  1. まずメロディを奏でる楽器を1つまたは複数選ぶ。(ユニゾンやオクターブも含めて)。もちろん最初から全部使う必要はなく、ソロから始まって足していくのもGood。
  2. ハモリを付けるならばハモリとなる楽器を選ぶ。
  3. ペダルポイントを入れるならばその楽器を選ぶ。
  4. ハモリの最低音をバスにする場合は(3)へ進む。

(2)バス・対旋律に使う楽器を選ぶ

  1. 対旋律を付けるのか、付けるならば外声か内声に付けるのかを決めて楽器を選ぶ。
  2. 対旋律を内声につける場合は別途バスを担当する声部の楽器を1つまたは複数選ぶ。

(3)白玉やリズム、オスティナートを担当する和音要素の楽器を選ぶ

 ここから先は必要がなければ入れなくてもよい要素です💡 曲の盛り上がりに応じて適宜追加していってください。

  1. 和音を構成する楽器を1つまたは複数選ぶ。
  2. 使う楽器が1種類〜数種類の場合はオスティナートを入れてもよい。
  3. 複数本の楽器を使う場合は和音を白玉で入れるか、若しくはリズミカルに歯切れよく入れるのかを決める。

(4)装飾音を加えて完成

 装飾は(3)で使ったオスティナートやリズムを使ったり、新しく加わる楽器が装飾音から始まってさりげなく加わるのも良い方法ですし、新たに短い装飾音を足したりパーカッションなどを足してよりリズミカルにしてみるのも良いでしょう💡

  1. オスティナートや和音リズムを使ってフィルを作る
  2. 楽器の駆け上がりやグリッサンド、パーカッションなどの装飾音を入れる。

まとめると一般的な演奏パターンは次のようになる

  1. 楽器ソロまたはユニゾンによる演奏。
  2. メロディ + 対旋律の2声対位法
  3. メロディ + 対旋律2本による3声対位法
  4. メロディ + 対旋律3本による4声対位法
  5. メロディ + ハモリ(最低音がバス)
  6. メロディ + ハモリ + 対旋律(バス)
  7. メロディ + ハモリ + 対旋律(内声) + バス
  8. メロディ +(ハモリ)+ 和音 + バス
  9. メロディ + (ハモリ) + 和音 + バス + 装飾音

 これらのパターンにどの楽器を当てはめていくかを考えればオーケストラの曲を自然と組み立てていくことができるはずです^-^ノ

楽器の組み合わせ例一覧(最初に全部見てみましょう)

 先程の組み立て方を踏まえて、楽器を組み合わせる際にどのような組み合わせが音量バランス的に効果的なのか、まずはまとめを見てみましょう💡

  1. 「弦楽器」のみを使う場合
  2. 「弦楽器」がメロディで他の楽器はサポート役
  3. 「木管楽器」がメロディで弦楽器がサポート役
  4. 「金管楽器」がメロディで他の楽器がサポート役
  5. 「弦楽器と木管楽器」による掛け合い
  6. 各セクションごとやすべてのユニゾン

 主な組み合わせはこんな感じです💡

 この組み合わせに先程の演奏パターンを当てはめていけばよさそうですね💡

(1)弦楽器のみを使う場合

  • 弱奏で情緒的(まったり感から悲しさまで)を表現したいとき

 弦楽器のみでまとめてしまう、古典派の曲の初めの方などに多く見られる型です。

 曲が盛り上がってくると他の楽器も入ってくるので、弦楽器のみで強奏をすることは弦楽合奏以外ではあまりありません。

弦楽器の役割

  • メロディ・バス
  • 和音
  • 装飾

(2)弦楽器がメロディで他の楽器はサポート役

  • 一番良く使われる定番の組み合わせ、よく聞くあの響き。

 弦楽器が主役となって、木管&金管はメロディやバスのサポートをする組み合わせです。

 特に金管は音が大きいので弱めに味付け程度で鳴らします。

弦楽器の役割

  • メロディ・バス
  • 和音

木管楽器の役割

  • 和音でサポート
  • ちょっとした装飾
  • たまにはうっすらとメロディ・バスをサポート

金管楽器(弱奏)

  • 和音でアクセント程度にサポート
  • バスのサポート

パーカッションなど

  • 装飾

(3)木管楽器がメロディで弦楽器がサポート役

  • 春のような清々しさやもの悲しい雰囲気など

 今度は木管楽器が主役になります💡 木管が主役になる時は他の楽器は少し工夫が必要なので注意です。

 弦楽器は単純に白玉で伸ばすよりもトレモロなどの特殊奏法や、ピチカートで弾いたり、スタッカートマルカート寄りの演奏でリズミカルな動きをつけると木管との相性が良いです。

 ※もちろん静かな場面では弦も白玉で使いますよ。

 この組み合わせでは木管(メロディ)と弦(リズム)を完全に分けて考えましょう。

木管楽器の役割

  • メロディとハモリも木管同士で演奏します。

弦楽器の役割

  • 和音:リズムを刻んだりオスティナートとして動いたり。ときにはトレモロなど。
  • バス:ピチカートや弓弾きでも短めに刻むようなバスが適しています。

パーカッションなどの役割

 木管とは編入楽器のハープがとても相性が良いです。

  • 和音:アルペジオやグリッサンドなど

(4)金管楽器がメロディで他の楽器がサポート役

  • 力強さや盛り上がりを表現するとき

 金管楽器はとにかく音が大きいので、木管と弦を両方サポート役にしても十分な音量を得ることが出来ます。

金管楽器の役割

  • メロディ:金管は1種類の楽器のみがメロディを担当することもあります。
  • 和音:メロディ以外の金管楽器は他の楽器と同様、和音のアクセントなどを演奏します。裏打ちなどにまわしても良いですよ💡

弦楽器の役割

  • 和音:アクセントとなる場所で和音の構成音を演奏します。

木管楽器の役割

  • 和音:アクセントとなる場所で和音の構成音を演奏します。

(5)弦楽器と木管楽器による掛け合い

  • 色々な楽器が登場して聴き手を飽きさせないようにする手法

 これもよく使われる組み合わせです💡 弦楽器と木管楽器は掛け合いをして交互にメロディをバトンタッチして繋いでいきます。

 特に同じメロデイが繰り返されるような場合、掛け合いを使うと新しい何かが生まれたような効果を出すことができます。

弦楽器の役割

  • メロディを担当する時は自由にメロディとハモリを演奏します。
  • 和音に回る時は先程の(3)のときと同じようにあまり目立ちすぎないようにしましょう。

木管楽器の役割

  • 木管でもメロディは自由に演奏しましょう。
  • 和音に回る時はリズムを刻んだり白玉で演奏したり、曲調に合わせて変えてみましょう。

(6)各セクションごとやすべてのユニゾン

  •  太くて存在感のある音

 ユニゾンを使うと、とにかく力強く存在感のある太い音になります。

 ユニゾンには弦楽器のみのユニゾン弦楽器と金管楽器のユニゾン木管楽器と金管楽器のユニゾン、そしてすべてのユニゾンがあります。

 ユニゾンではすべての楽器の役割が同じ(メロディー)です。ユニゾンを使うのは簡単そうでいてなかなか使い所を見極めるのが難しかったりと奥が深いものなのです。

まとめ

 今回はオーケストラのたくさんの楽器をどのようにまとめるかについて説明しました。

 この記事に書いた組み合わせの演奏例(音声ファイル)なども今後作って公開していければと思っていますよ^-^ノ