前回は4声(ソプラノ、アルト、テノール、バス)が使用できる音域と、各声部と声部の距離について2つルールをご紹介しました。
今回はそれぞれの声部の配置(積み重ね方)のルールや、進行する上でのルールについて書いていきます💡
この先いろいろな禁則が登場しますが、一番大事なことは前の記事でも述べたように「4声の各声部それぞれが旋律を奏でること」です。
そして「ソプラノとバスが対旋律的になるように組み立てる」ことも忘れずに💡
(ファ-レ) (ド-ラ) (ソ-レ) (ド-ラ)
和声の配置とは?
配置とは4声の音をどのように積み重ねるか、その縦の積み重ね方のことです。
ド・ミ・ソ・ド、と重ねたり、ド・ソ・ド・ミと重ねたり、いろいろ考えられますね💡
4声で使用できる配置は次の3つ!
4声での積み重ねパターンを大きく分けると次の3つに分類することができます。
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① 密集配置
上3声(ソプラノからテノールまで)の音域が1オクターブよりも狭い配置。
② 乖離配置
上3声が1オクターブ以上離れて配置されている配置。
③ オクターブ配置
ソプラノとテノールの間がちょうど1オクターブになっている配置。
オクターブ配置が使える場面は限られていて、例えば基本形でのVIや転回形の配置で使うことができます。
VI以外の基本形で使うと禁則を生み出しやすくなるので気をつけましょうね💡
配置していく際の注意 Point!
配分転換:密集配置から開離配置へ、または開離配置から密集配置へと配置が変わることです。
(1)配分転換するときはオクターブ配置を経由して配分転換しないと禁則が生じやすくなるので気をつけましょう💡
密集配置から乖離配置になったり、反対に、乖離配置から密集配置にいきなり変わるのは禁則を生みやすいよ💡ということです。
2声の進行について
今度は2声の進行について見ていきましょう。この2声とは、主に外声(ソプラノとバス)のことだと思ってください。
2声の進行は次の3種類!
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① 並達
2つの声部が同じ方向に進行すること。
② 反行
2つの声部が反対方向に進行すること。
③ 斜行
1つの声部が保留(和音が変わった際に共通する音を同じ声部がそのまま担当すること)され、もう一つの声部のみ音程が変わること(上行や下行するという)。
それぞれ楽譜で確認しておきましょう
進行(連結)時に生じる禁則とは?
ここからは実際に4声が進行して繋がっていく際に生じてしまう「禁則」にはどのような種類があるのか見てきます💡
複雑そうですが覚えることは少しですので1項目ずつ覚えていきましょう💡
(1)連続の禁則
連続の禁則には、連続8度、連続5度、連続1度の禁則があります。連続の禁則は最も生じやすく、見落としやすいので気をつけましょう💡
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これらの禁則は2つの声部、例えばソプラノとアルトの2声が進行する際、2つの音程関係が連続して8度、5度、1度になっている場合のことをいいます。
連続の禁則は並達・反行ともに禁じられる
連続8度、5度、1度は、進行が並達でも、反行の場合でも禁則になります。
斜行によって生じる連続
斜行の場合は1つの声部はそのまま保留されて、もう一方の声部のみ音程が変わるので連続が生じることは滅多にありません。
次の例のように上の声部がオクターブ跳躍して連続が生じることがありますが、保留された音は禁則にはならないと考えましょう💡
(2)並達の禁則
並達の禁則には、並達8度、並達5度、並達1度の禁則があります。並達の禁則は外声間のみで生じると覚えておきましょう💡
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これらの禁則は、2つの外声、4声ならばソプラノとバスの2声が進行する際、2つの音程が並行して8度、5度、1度に到達している場合のことをいいます。
ソプラノが順次進行している場合は禁則にならない
ただし次の例のようにソプラノが順次進行している場合は禁則にはなりません。
(3)長7度の跳躍進行による禁則
次のような長7度の跳躍は音程が取りにくいので避けましょう💡
(4)オクターブを超える跳躍進行による禁則
オクターブを超えるような跳躍も、音程が取りにくいので避けましょう。
(5) 外声が6度以上跳躍をしたら反対側へ進行する
外声(4声の場合はソプラノ or バス)が6度以上跳躍したら、次の例のように反対側へ戻るように進行しましょう。
こうすることでどんどん音域が広がるのを避けられます。
(6)内声は6度以上の跳躍進行は避ける
内声(外声以外の内側にある声部)は6度以上の跳躍進行をしないようにしましょう。
(7)増音程の進行は避ける
増音程を生じる進行は音程が取りにくいという理由で禁則になります。
増音程は特に短調で生じやすいので気をつけましょう。
(8)ドミナントに含まれる導音は主音に解決する
ドミナント機能をもつ和音に導音が含まれているときは主音に解決しましょう。
特にソプラノが導音のときは主音に解決しないと不自然さが残ります。
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(9)基本的に声部は交差しない
4和声で考える場合、各声部は基本的に交叉しないように動かしましょう。
(10)第3音は欠けたり重複したりしない
第3音が欠ける場合
第3音は和音のメジャーやマイナーを決める重要な音で、とてもキャラクターが強いです。
そのため、第3音が含まれていないと「空虚5度」といって浮いたような音になります。
第3音が重複する場合
また、キャラクターが強いため和音の中に第3音が2つ以上含まれるとキャラクターが強くなりすぎて禁則となります。
ただしVIの和音(ハ長調ではAm、イ短調ではF)の場合は第3音が調の主音に相当するため、むしろ重複が好ましいとされています。
オクターブ配置の項目で、基本形のVIがオクターブ配置にすることができると書いたのは、VIの第3音が重複してオクターブになることがよくあるからです💡
T、D、Sについて
ここで和音機能、トニック、ドミナント、サブドミナントについて見てみましょう💡
T(トニック)
・安定した響きで曲の始まりと終わりに使われます、TDSのどこへでも進行できます。
・I、I1、VI、VI1、III。
D(ドミナント)
・不安定な響きで、導音が含まれているので進行上の制約があります。
・V、V1、III1など。I2は後にVを持ってきて2つでDの働きとして用いる。
S(サブドミナント)
・やや不安定な響きで、特にIIはVに進む力が強く、進行上の制限が少しあります。
・IV、IV1、II、II1など。
まとめ
今回は和声法の予習として、基本的な禁則をメインに紹介しました。
次回は一番大事な基本形について紹介していきます^-^ノ