今回はVIENNAから出ている「Harp1」の使い方とレビューを書いていきたいと思います。
まず、Harpの音源といえば一般的なよく知られている弦を弾いた音を収録したものや、ペダルを再現したものなどいろいろなメーカーから出ていますが、この音源はハープの独特な奏法を簡単に再現するためのキースイッチが多く収録されています。
VIENNA Harp1 とは?
まず、ソフトの見た目はユーザーにはおなじみのインターフェイスで、マトリクスの内容もぱっと見てわかりやすい英語で書かれています。Harpは弦楽器なのでプリセットの「Strings」から呼び出します。
最初に起動した状態ですとdestination parameterにはCC11が割り当てられていますが、この手の音源ですと音量はベロシティで調整して使ったほうが演奏しやすいので殆ど使用することはないと思いますが、後述するGrissなどの奏法ではcc11を活用することで表現の幅が増えるかもしれません。
VSEに含まれているHarp音源との違いは?
Special editionに含まれるHarpの音源との違いが気になるところですが、まずVSEのHarp音源には奏法は殆ど含まれていません。
Glissなどの表現は比較するとやはり専用のパッチを使わないとなかなかうまく再現するのは難しいなと感じたので、奏法の表現を求めるという方にはこの音源はとてもおすすめです。
また通常の指で弦を弾く音については、VSEの音源ではベロシティレイヤが少ない分少し表現の幅が狭いように聴こえます。
以下は含まれている奏法です、Glissの速度は追加ライブラリも購入しないと変えられない仕様になっているので、この音源については購入を検討される方はフルライブラリで入手したほうが後々お得だと思います。
収録奏法について、メーカーサイトより。
※ 図中のa3、a4はクラシックで頻繁に使われる省略記号ですがこの場合も3音と4音を鳴らすという意味です。
音源の使い方と楽器の仕組みについて
それでは実際に使い方を見ていきましょう、Harpの奏法やペダルの設定などはわかりずらいところもありますが、基本をしっかりと押さえればすぐに使えるようになるので心配はありません。
① 楽器の仕組みについて
Harpには7つのペダルが付いていてそれぞれに「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」が割り当てられています。
これらのペダルが全て踏み込まれていないとき、全ての弦(47本)は変ハ長調に調律されます。
ペダルは1段階踏むと半音階上がる仕組みなので、全て1段階踏むとハ長調、そこからファのペダルをもう1段踏むとト長調になるといった感じに音階を作っていきます。
まずここまでで、Harpという楽器は常に7種類までの音階のなんかで演奏をしなければならないということがわかります。
演奏中にペダルを操作してディミニッシュを鳴らす、なんてことも出来るのですが、ペダルを踏み変えるための時間が少々必要です。
さらに、このような作りから隣り合った弦は同じ音程に調律することもでき、例えばグリッサンドをするときに次のような音階も生じることになることに気をつけなければいけません。
ド・レ・ミ・ミ・ソ・ラ・ド
この図はド・レ・ミ・ミ・ソ・ラ・ド 音階」のときのペダル設定です
グリッサンドはどのように演奏される?
この音源を使用する前に、意外と知られていないHarpでのGlissについて、どのように演奏されているかを知る必要があります。
ここではグリッサンドには次の2種類があるということを覚えておきましょう。
・ホールトーンスケール(全音音階)でのGliss
・和音(major、minor、diminished、pentatonic、ペンタトニック など)でのGliss
和音上に、音階にはない音が出てくる場合はそのフレーズの前後にペダルを踏む時間を作りましょう。
そしてさらにGlissは演奏の速さや上昇下降によっても印象を変えることができます。
Glissでは特に何本の弦を演奏するというのは特に決まっていないので、始まりの弦選びや回数などについては譜面による指示があるか、または指示がなければ演奏者が自由に表現を行うことになっています。
操作方法について紹介
VIENNAに共通する使い方は省略し、ここではHarp音源で重要なGlissの速度の変化と、上昇下降の切り替え方法について掲載します。
・Glissの上昇下降は図中①にあるキースイッチによって方向を切り替えることができます。
・Glissの速度は図中②の縦列の並び順になっており、上から「ゆっくり、中間、速い」と割り当てられています。
簡潔ですが、この2つの切り替えがこの音源ではかなり重要な操作となります。
収録されている各音源について紹介
公式のデモ動画で奏法などを紹介している動画があったのでそれを引用して説明します。
1.Normal
この音がこの音源の標準の音ということになります。
2.Pres-de-la-table
難しいフランス語が出てきましたね 。これは弦の下の方の共鳴板に近いところを弾く奏法です。
3.Glissando-medium_F major
グリッサンド奏法です、ここでは速度は中間でFメジャーの和音が鳴らされています。
画像では小さくて見えづらいですが、このように演奏されています。
まとめ
この他にもハーモニクス奏法や、アルペジオ(3音、4音)による奏法がありますが、基本は上に上げた例と同じように考えれば使いこなせると思います。
演奏での最大のポイントは、入りの音程とタイミングの選択、そしてどこまで伸ばすかをイメージするということです。
この音源の印象は、当初は予めパターンが決まっているのでオリジナリティに欠けてしまう音源なのかな?とも思ったのですが、記事で書いたようにタイミングや組み合わせによってかなり自由に音が作れました。
リアルタイムに演奏をすれば他の音源と同じようにオリジナルの表現もできる素晴らしいHarpの音源(!)是非みなさんも体験してみてくださいね。