もうリバーブのプリディレイ値で迷わない!?プリディレイ計算機を作ってみた&使い方について

 リバーブの設定値にプリディレイというのがあります💡

 プリディレイとは初期反射(1回だけ壁に反射してマイクへ届く音)がマイクに届くまでの時間のことで、プリディレイの設定値は、空間サイズ(形状)音源の位置マイクの位置から割り出すことができます。

 このプリディレイ、なかなか設定値のイメージがしづらくて、よくわからないで設定している方も多かったはず!

 そして直方体の空間では壁は左右、床、天井、奥、手前、と6つの壁があるので、実は最低でも6種類のプリディレイ値のリバーブを使う必要があるのです。(1種類しか使ってない人も多いですが^-^;)

 そこで、今回は空間のサイズ、楽器の位置、マイクの位置をそれぞれx,y,zの座標で指定してあげることで、音の移動距離と速度から直接音と初期反射音の時間差(プリディレイ)を自動的に割り出すソフトを制作して無料で公開したのでご紹介します💡

 プリディレイ計算機はこちら↓

プリディレイ計算機 ver.2.0
 このソフトでは空間を直方体として考えた時、 6面からの初期反射が直接音に対して、どの程度遅れて届くか(プリディレイ値)どの程度減衰するか(WET/DRY値) を空間サイズや楽器の座標、マイクの座標を元に計算できます💡ソフト制作・開発メンバ...

プリディレイ計算機とは

 今回公開したプリディレイ計算機では、6面の直方体、つまり楽器からマイクの位置に到達する6種類のプリディレイを空間サイズと座標を元に一度に計算することができます。

直接音との差をプリディレイとして計算

 実際の環境では楽器からマイクまでの直接音にも音の遅れがあるのですが、DTMで使用する場合は直接音の遅れを0として考え、そこにリバーブプラグインを足してプリディレイを設定する都合を考え、今回は直接音と初期反射音の到着時間の差をプリディレイ時間として算出するプログラムを組みました。

計算機の使い方

(1)ホールサイズを入力します

 まずは空間のサイズを設定します、ここでは幅15m、高さ8m、観客席まで入れた奥行きを30mに設定しています。

(2)音源の位置を入力します

 次に音源(楽器)の座標を設定します、

  • 「x」の部分はホールの左壁から何mの位置かを設定。
  • 「y」の部分は地面から何mの位置かを設定。
  • 「z」はステージ裏(奥)の壁から何mの位置にあるのかを設定します。

(3)マイクの位置を入力します

 次にマイクを設置する位置を入力します。

  • 「x」の部分はホールの左壁から何mの位置かを設定。
  • 「y」の部分は地面から何mの位置かを設定。
  • 「z」はステージ裏(奥)の壁から何mの位置にあるのかを設定します。

「プリディレイを計算ボタン」を押して計算

 全て入力が終わったら「プリディレイを計算」ボタンを押すと計算結果が表示されます。

計算結果の見方と値の使い方

 まず一番上にホールの容積が表示されます(音速は固定です)。

「直接音の項」について

 直接音の項では、実際に楽器からマイクまでの直線距離(m)と到達するまでに何ミリ秒の遅れがあるかが表示されます。

「左壁による初期反射の項」について

 ここではホールの、向かって左側の壁から届く初期反射音がどのくらい遅延があるかを表示しています。

 赤文字は実際にDTMのリバーブプラグインで使う値となります。

「右壁による初期反射の項」について

 ここではホールの、向かって右側の壁から届く初期反射音がどのくらい遅延があるかを表示しています。

 赤文字は実際にDTMのリバーブプラグインで使う値となります。

「床による初期反射の項」について

 ここではホールの床から届く初期反射音がどのくらい遅延があるかを表示しています。

 赤文字は実際にDTMのリバーブプラグインで使う値となります。

「天井による初期反射の項」について

 ここではホールの天井から届く初期反射音がどのくらい遅延があるかを表示しています。

 赤文字は実際にDTMのリバーブプラグインで使う値となります。

「ステージ裏による初期反射の項」について

 ここではステージ裏から届く初期反射音がどのくらい遅延があるかを表示しています。

 赤文字は実際にDTMのリバーブプラグインで使う値となります。

「客席後方壁による初期反射の項」について

 ここでは客席後方の壁から届く初期反射音がどのくらい遅延があるかを表示しています。

 赤文字は実際にDTMのリバーブプラグインで使う値となります。

直接音と初期反射音の割合について

 直接音と初期反射音の割合は、両者の移動距離を元に割り出し、さらに壁の吸音分初期反射音の割合が減ります。

 例)

  • 直接音の移動距離が9m 
  • 初期反射音の移動距離が14m

 の場合、14/9 = 1.5555… ≒ 1.6

 つまり、

 直接音:初期反射音 = 1:1.6

 なので、 100/2.6 =38.46….

 つまり初期反射音は直接音の約38%未満の値になります。

 厳密にdBで計算をするならばlogを使用して計算しますが、ここでは単純に点音源の距離が2倍になれば音圧は6db減衰、つまり1/2になるとして計算しています。

 プリディレイ計算機Ver.1.1にて「Wet/Dry」値の表示を実装済みです!

ホールの容積について

 世界や日本にある有名なホールの容積と残響時間の一覧をこちらのページの中程にて掲載しておりますのでそちらを参考にしてみてください。

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まとめ

 今回はリバーブプラグイン用のプリディレイ計算機を作って公開しましたという紹介でした!(*´∀`*)

 このソフトが皆さんの制作の役に立てば嬉しいです^-^ノ

 また、今回の企画制作にあたって、Co-writeメンバーのNobunagaさんに制作協力をしていただきました💡ありがとうございますm(_ _)m感謝感謝でございます。

 P.S. ちなみにこの計算機を使用して市販のどこにでもあるリバーブを使って本物らしい空間を再現した音源を早速アップしてみました💡参考までにどうぞ。

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