DTMでエフェクトをかける方法と言えば、音源を再生するトラック上に直接エフェクトプラグインをかけて使用するのが一般的ですが、音源のトラックとは別にプラグイン専用のトラックを作成して、そこに音を流すことでエフェクトをかけるという方法があります。
Cubaseではそんなエフェクト専用のトラックのことをFXチャンネルトラックと呼び、主に空間系のエフェクトをかけるために使用したり、送る量を調節して元の音を残したい場合などに使用します。
今回はそんなCubaseで使える便利なFXチャンネルについて、使い方や使い所について紹介していきます^-^ノ
FXチャンネルトラックとは?
FXチャンネルはエフェクトプラグインを格納する専用のトラックで、音源トラックから音を流し込むことでエフェクトを掛ける仕組みになっています。
音源トラックからは「FXチャンネル行きの音」と「マスタートラック行きの音」の2つの流れができているため、それぞれの比率を調節することで、「元の音」と「エフェクトの掛かった音」のバランスをとることができます。
たまにプラグインに「WET/DRY機能」が付いているものがありますが、それåと同じことをプラグインの外でも行うことができるイメージです。
FXチャンネルへ音を送ることをSEND(センド)・送る割合をSEND量と呼ぶ
FXチャンネルトラックを使用してエフェクトを掛ける場合、「音源トラックからFXチャンネルトラックへ音を送る」ことからSEND(センド)でエフェクトを掛けると呼びます。
また、FXチャンネルを通す量(エフェクトを掛けた量)のことをSEND量と呼ぶので覚えておきましょう💡
FXチャンネルを使うとプラグインの順番に優劣がなくなる!?
例えば、音源トラックに直接プラグインを使用する(インサートプラグインという)場合、プラグインの順番によって掛かる順番が変わってしまいます。
そこでFXチャンネルを使用すると、それぞれのエフェクトを順番に関係なく個別に掛けられるというメリットがあります。
特にリバーブプラグインでは、1つのリバーブで部屋の1辺を表現するので、6面使用するとなると6種類のリバーブに並行して音を送る必要がありますが、そのような場合にFXチャンネルは役立ちます。
このサイトで公開している「リバーブは6種類の設定を使おう!」でもリバーブはこのようにFXチャンネルを使用して掛けています。
コンプレッサーでパラレルコンプレッションが可能!
キックドラムやベースの音作りの際に、コンプレッサーを掛けた音と元音を混ぜて音作りを行う「パラレルコンプレッション」という技法があります。
パラレルコンプレッションには2つやり方があって、
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という方法があります。
どちらの方法でも良いのですが、FXチャンネルを使用することでトラック全体の見た目をスッキリとさせることができるのでおすすめです💡
CubaseでFXチャンネルトラックを作成してみよう!
CubaseでFXチャンネルトラックを作成してみましょう。
トラック・リスト上の何もない箇所で「右クリック」>「FXチャンネルトラックを追加」をクリックします。
使用したいエフェクトを選択する
「FXチャンネルトラックを追加ウィンドウ」が表示されたら「No Effect」と書かれた箇所をクリックして使用したいエフェクトを選択します。例ではC1コンプを選択しました。
ステレオ・モノラルの設定
続いて「ステレオ or モノラル」を選択しましょう。FXチャンネルへ送りたい音源がモノラルであればモノラル、ステレオ音源であればステレオを選択します。
FXチャンネルトラックにわかりやすい名前をつけておく
チャンネルに名前をつけておきましょう。※空欄のままだと自動的にプラグインの名前で作成されます。
出力先の選択
続いて出力先を選択します。特別な理由がなければデフォルトのまま「Stereo Out」を使用しましょう。
エフェクトプラグインはFXチャンネルにインサートされている!
作成時に選択したエフェクトプラグインは、FXチャンネルトラックの「インサートプラグイン」として適用されています。
インサートのプラグインのラックでは、プラグインを追加したり、最初に選択したプラグインを入れ替えてしまっても問題ありません💡
音源トラックからFXトラックへ音を送る方法!
FXチャンネルトラックを作成しただけではまだ何も音が流れていないため、音源トラックからFXチャンネルトラックへ音を送る必要があります。
音源トラックのインスペクターから「Sends」タブを開く
FXチャンネルトラックへ音を送りたい「音源トラック」を選択した状態で、左側インスペクターから「Sends」タブを開きます。
一番上のマスをクリックして送り先を指定
Sendタブが開いたら、一番上のマスをクリックして先程作成したFXチャンネルトラック名を指定します。
SendをONにする
SendはデフォルトではOFFになっているのでクリックしてONにしましょう。
送る量(SEND量)の設定をする
SENDをONにすると青いバーと数字が表示されます。この数字はFXチャンネルトラックへ送られる音量を示していて、数値が大きいほど多く、小さいほど少なくなります。
デフォルトでは「0(音源の元の音量と同じ)」に設定されていて、減らしたり増やしたりすることができます。
青いバーの上でマウスクリックをして左右に動かすと数値を変更できます。
1つのFXチャンネルトラックに複数の音源を送ることも可能!
同じように、複数の音源トラックから1つのFXチャンネルトラックに対して音を送ることも可能です!
そのようにすることで、複数の音源トラックに対して同じエフェクトを掛けられるというメリットや、エフェクトプラグインの使用数が少なくて済むというメリットもあります💡
SENDをプリフェーダーで使用する方法!
通常(ポストフェーダー)では、SENDの量はフェーダーの音量に左右されてしまいます。
後からフェーダーを動かしてしまうと、SENDで送られる量も変わってしまうということですね💡
さらに、ポストフェーダーでは、フェーダーを0にして元音を0に設定して使うというやり方ができません(これはリバーブを複数使う際に必要な設定)。
プリフェーダーならフェーダーが0でも音を送れる!
そこで、フェーダーを通す前にFXチャンネルトラックへ音を送ってしまおう!というのがプリフェーダーの考え方です💡
これならフェーダーの音量に左右されずにFXチャンネルトラックへ音を流すことができます。
プリフェーダーモードで送る方法
SENDの青いバーの上で右クリックをして、「プリフェーダーへ移動」を選択します。
プリフェーダーモードではバーが緑色で表示される!
プリフェーダーモードでは、このようにSEND量を示すバーが緑色で表示されます。
試しにフェーダーを0にしてみよう!
試しにフェーダーを0に設定してきちんと音が流れるかを試してみましょう💡
プリフェーダーモードを使用すれば、元の音を鳴らさずに複数のプラグインを、しかも順序に左右されずに使用することができます。
使う機会は限定されますが、こんな機能もあるんだというのを覚えておくと役立つときがくるかもしれません💡
Cubase FXチャンネルトラックの使い方! のまとめ
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FXチャンネルトラックを使用して音をSENDで送れば、インサートプラグインだけではできなかった表現ができるようになります💡
特に空間調整や、元の音を活かした音作りなどではFXチャンネルトラックが大きな力になること間違いなしなので是非どんどん活用してみてください^-^ノ