超謎解き!DTM探検!!第5回は「メロディにバスの対旋律を付けてみよう!!」について紹介していきます!!
タイトルに対位法と付いていますが、皆さんご存知の通り厳格対位法※は中世~ルネサンスに最も流行った古い技術で、バロック以降、バッハを除いてあまり使われなくなった手法です。
そこで、今回はバロック以降の作曲家が使っている、コード進行から対旋律を作る自由対位法の技術を取り入れて対旋律を付けていきます。
前半の解説は今までよりも少しだけ難易度が上がりますが、後半の実践に入ると意外と簡単だと感じるはずです💡
自由対位法を使えば楽々簡単に対旋律を作ることができるので挑戦してみましょう!!
今回はメロディに対してバスで対旋律を付けていきますが、同じ方法でストリングスの対旋律を付けることもできますよ💡
※厳格対位法とはコード進行を考えないで対旋律を付けていく対位法のこと。
対位法とは?
対位法と聞くと難しそうですが、実は「メロディを邪魔しないようにもう一つのメロディを作っていく」という単純な作業です💡
そして対旋律は「メロディの上や下にも付けられる」というところまで覚えておきましょう💡
そうそう💡今回から3度や5度など、2つの音の距離を表す言葉が登場します💡
一見難しそうですが、音の距離の関係は次のように決まっているので覚えてしまいましょう💡
○ もっと詳しく知りたい方はこちら
どんなときにメロディを邪魔するの? 4つを覚えよう!
並達や連続によって濁る例
ちょっと専門的な話ですが、とても大事なポイントです💡
2つの音が近すぎて濁る例
こちらは2つの音が近づきすぎて強調されてしまう例ですが、今回はメロディ(ソプラノ)とバスを対旋律にするのであまり考えなくても大丈夫です💡
対位法の禁則は細かく説明するとまだまだありますが、とりあえず上の4つを押さえておけば致命的な響きは避けることができます。
メロディを引き立てる対旋律はどうやって作る?
対旋律はメロディを引き立てるために入れるので、メロディが楽しく動きのあるときには対旋律はあまり動かずに静かに支えます。
一方でメロディが長く伸びて動きのないところでは、対旋律が動いて静けさをカバーするように支えましょう。
メロディと対旋律は互いに反対方向へ進むように意識すると並達の禁則になりづらく、きれいに聴こえるというメリットがありますが、必ず反対に動かす必要はありません💡
ちなみに黒板中の「順次進行」とは音が階段状に滑らかに繋がっていく進行で、「跳躍進行」とは階段を飛ばして昇り降りする、音がジャンプする進行のことです。
コードの変わり目では和音構成音メイン! 他の弱拍では経過音や刺繍音も使える!
コードの変わり目では、対旋律がコードの構成音を通るとコードが変わったことが明確にわかりやすくなります💡
構成音には長短3度、長短6度、完全5度、完全8度がありますが、主に3度と6度を使用して、程よく5度や8度の音も混ぜる程度に使うとバランスが良くなりますよ💡
コードの変わり目以外の弱拍では、隣り合ったコード構成音を階段状に繋げるための「経過音」や、構成音上を行き来する「刺繍音」なども使うことができます。
対旋律の出だしは8度が基本! 5度や1度、3度から重ねて始める場合も!
こちらはあまり深く考えず参考程度に眺めておいてください💡
メロディの上に対旋律を付ける場合は、対旋律は8度または5度の音から始めると良いとされています💡
メロディの下に対旋律を付ける場合は、8度から始めるのが基本です。
このルールについては適用するとほとんどの曲が禁則になってしまうので、迷った時や、なんだか音がおかしくて作業が進まないと感じた場合に取り入れましょう💡
実際にバスを使って対旋律を付けてみよう!
お待たせしました(ฅ’ω’ฅ)♪それでは、いよいよ前回コードを付けた曲に対旋律を作っていきます。
準備として、バスを入力する低音楽器用のトラックを作って音源を割り当てておきましょう💡
メロディに「仮のリズムトラック」と「仮のコードトラック」を合わせた前回までの音源がこちらです。
まずは付けたコードの「ルート音」を入力してみよう!
付けたコードを確認してみましょう💡 FやGなどアルファベットが並んでいますね💡
特に転回形にしていなければ、このアルファベットがコードのルート音(根音・最低音)になっています。(この状態を基本形といいます)
例えば「F」というコードのルート音はF(ファ)です、大丈夫そうですね💡
ちなみに転回形とは「F/A」のように分数で表示されているコードで、この場合のルート音は分母のAになります。
ルート音をピアノロールに入力
入力したノートはこのようになりました💡
メロディのトラックも表示して並べて見てみましょう💡
ついでにこの状態の音も聴いてみることにします。
・・・出だしから連続5度とはなかなか素晴らしい出来です^-^;
ということで、見ての通りコードの基本形だけを使った場合には禁則だらけになってしまいます💡
多少の禁則は全然問題ないのですが、さすがにこれでは申し訳ないので、長々と解説してきたルールに則って修正を加えていきます。
コードを転回形にしてみよう!
では先程のコードを転回形にしてみましょう💡
転回形とは先程も少し紹介しましたが、ルート音をコード構成音の他の音に変えることです。
例えばCのコード(ドミソ)ならミやソをルート音にすることができます💡
並達5度や並達8度の音が出ないように、なるべくメロディと対旋律を反対方向に動かすように音を選択していくのがおすすめです💡
並達の禁則が生じそうな箇所は、コード構成音を仲介することでうまく反行させて響きを弱らせています。
隙間を埋めるように対旋律を動かして完成!
最後に、経過音や和音構成音を使ってメロディの隙間を埋めたり、旋律の動きを滑らかに仕上げていきましょう💡
ただ、順次進行にせずに跳躍していたほうが良い場合もあるので、雰囲気に合わせて調節してくださいね💡
対旋律が細かく動くとクライマックス感が出てきます💡
第二回(メロディに合ったらリズムを付ける方法)で作った「仮のリズムトラック」に合わせるように作ると自然とフレーズが浮かんできます💡
ピアノで対旋律を入れたバージョン | |
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ベースで対旋律を入れたバージョン |
このように対旋律の雰囲気は楽器によっても変わります💡
ベースの場合は伸ばすともたつくのでこの曲の場合もう少し細かく刻んでも良さそうですね💡
対旋律に管楽器を想定するならば息継ぎのポイントも考えなければなりません💡
コードと対旋律のみの音源も聴いてみよう!?
ポイントは「対旋律だけを聴いてもきちんと楽しい演奏になっているか」というところです💡
あと、対旋律は脇役ですが、全面に出てきてこそ主役をサポートするものです💡
なので、ちょっと音が合わないから対旋律の音を小さくして隠してしまおうという技はあまり使わないようにしましょう💡
対位法についてもっと詳しく学びたい方はこちらの本がおすすめ!
次回は和音にもリズムを付けて演奏してみます!
今回で、「メロディ、リズム、コード、対旋律」という4つの要素が揃いました💡
次回はいよいよ楽器を選んで、仮のリズムや和音のトラックを置き換えていきます💡
和音にもリズムを刻んで演奏を足してみましょう^-^ノ