ミックスの最終段階&マスタリングで目的に合わせて音質や音量の最終調整をやってみよう!(完結)

〜スポンサー企業によるプロモーション・コンテンツ〜

 超謎解き! DTM探検!!第21回(最終回)は「ミックスの最終段階&マスタリングで目的に合わせて音質や音量の最終調整をやってみよう!」について紹介していきます💡

 今回は、実際に曲をどのような場所で公開するのかを想定しつつ、目的に合った音質や音量に整えるためには何を考えながら調整していけばよいのかについて考えながら最後の仕上げに入っていきましょう💡

 超謎解き!DTM探検!!もいよいよ今回で最終回!泣いても笑ってもこれでラスト!?最終回を飾るにふさわしい華やかな内容になるよう精一杯お送りしていきます💡

前回までに「コンプレッサー&EQ」を掛けた音源を確認!

Yugo
Yugo

今回はこの音源に、ミックスの仕上げ段階として修正を加えつつ、最終的にどのような環境、目的で公開するのかを考えながらマスタリングで調整していくよ♪

こむぎ
こむぎ

いよいよ完成だ〜⁽⁽ ◟(∗ ˊωˋ ∗)◞ ⁾⁾♪

作業に取り掛かる前に!?どこで公開するかを考える!

Yugo
Yugo

曲を公開すると一口に言っても、屋内で流したり、屋外で流したり用途は様々💡

屋内であっても劇場用YoububeなどWEB用ゲームや映画のBGMならどのようなシーンで流れるのか、など、用途によって空間を調整し直したり、ラウドネスレベルを調節することでより効果的な仕上がりになるよ💡

こむぎ
こむぎ

なるほど〜💡今回はどんな感じに仕上げるの?

Yugo
Yugo

今回はゲームBGMとして仕上げていくことにするよ💡

残響の聴こえ方はどうやって決める?

Yugo
Yugo

ゲームには映像があるよね?映像の中で曲を再生したときにどんな風に聴こえそうかをイメージしてみよう💡

こむぎ
こむぎ

なるほど〜💡ゲーム内の世界に合わせていくんだね💡

Yugo
Yugo

今回は屋外のエリアで、ステージには岩山や建物もあるから少し残響があるイメージを持ちながら調整すと良さそう💡

再生環境についても考えるとポイントUP↑

Yugo
Yugo

ゲームは室内で遊ばれるものだけど、映画館ほど大きな音では再生されないよね💡

だからあまり室内での反響を考慮しなくてもOK💡あとはヘッドホンで再生する人も多いことを考えても、あまり残響音を減らす必要はないと考えるのもポイント💡

こむぎ
こむぎ

なるほど〜💡製作者の環境ではなくて、最終的に再生される場所で綺麗に聴こえるかどうかが重要なんだね💡

Point!

  • 今回はゲーム映像の雰囲気に合わせて聴こえることを考える!
  • 再生環境が小さな音(スピーカー)やヘッドホンで再生されること考えると、部屋の残響が加わることはあまりなさそう!
  • という点を踏まえて製作をすすめる!

公開用の音量(ラウドネスレベル)はどうやって決める?

Yugo
Yugo

まずはこちらの表を見てみよう💡

 ラウドネスレベル(LUFS/LKFS)
日本のテレビ・デジタル放送基準
(ARIB TR-B32)

-24.0±1(LUFS/LKFS)

WEB用コンテンツ-16 ~ -12(LUFS/LKFS)
映画(劇場公開用フィルム)-20 ~ -31(LUFS/LKFS)程度 
(-27くらいの作品が多い)(規定はない)
劇場上映用トレーラー
(予告編)の上限音量規制値

・TASA:85 Leq(m)  (約-16 LUFS)以下
(幕間CM)

・SAWA:82 Leq(m) (約-20 LUFS)以下
(シネアド規格)

Youtube-13(LUFS/LKFS)
(規定を超えた音量は下げられる)
Spotify-14(LUFS/LKFS)
(規定を超えた音量は下げられる)
Apple SoundCheck-16(LUFS/LKFS)
(規定を超えた音量は下げられる)
CD非常に音圧の高い曲
(アイドルソングやEDMなど)
-7 ≦(LUFS/LKFS)
近年の日本のポピュラーソング-10±2(LUFS/LKFS)
アメリカのポピュラーソング-14±4(LUFS/LKFS)
クラシックやジャズなどの曲-30 ~ -15(LUFS/LKFS)
こむぎ
こむぎ

わーいっぱいあるね!?ところで(LUFS/LKFS)って何の単位?

Yugo
Yugo

DTMをやっていると-◯dBのようにdBで音量を表すことに慣れていると思うけど、音量を表す単位は実はdBだけではないよ💡

特に映像向けの規格では(LUFS/LKFS)やLea(m)といった単位が使われるので覚えておこう💡

もっと詳しく知りたい場合は「映像製作者向けのラウドネス基準について」を見てね💡

音量(音圧)は必要以上に上げない時代が既にきている?

こむぎ
こむぎ

ここに書いてある音量は、それぞれ公開するときの理想値ってこと?

Yugo
Yugo

そうだね💡一時は音圧を上げる競争時代もあったけど、今では、例えばYoutubeでは動画の音声が-13dBを超えると、自動的に-13dBまで落とされてしまう機能が付いているんだ💡

Apple社やSpotifyなど、他のオンライン配信サービスでもこの機能を導入して、急に大きな音量が流れて視聴者が驚いてしまわないように工夫されているよ💡

こむぎ
こむぎ

なるほど〜、ミックスで音圧競争〜って頑張ってもYoutubeや配信サービスにアップしたら音量下げられてしまうんだね💡

それなら音の圧縮を最小限に保って、はじめから目的別に最適な音量を知っているだけでもずいぶんと有利に製作が進められそう💡

(LUFS/LKFS)は専用のプラグインを使って測定する!

Yugo
Yugo

LUFSとLKFSは呼び方が違うだけで同じもの💡この単位で音量を計測するには専用のプラグインが必要だよ💡Cubase ProのようにDAWによってはメーターが標準搭載されているものもあるので確認してみよう💡

こむぎ
こむぎ

これからはラウドネスの時代!

今回はゲームBGM用途&WEB配信用に-16 LUFS辺りで、ピークはほぼ潰さずにマスタリングする!

Yugo
Yugo

今回はゲームBGMとしてはもちろん💡このページにも掲載するため、ラウドネス値は-16 LUFS程度に設定することにしたよ💡

このくらいの音量であれば、ミックス時に適切に処理をしていればマスタリングではピークを潰さずに音圧を上げられるので、使用時、もし音が大きければ下げても劣化がなく調節しやすいというメリットがあるよ💡

こむぎ
こむぎ

上げるのは大変だけど下げるのは簡単💡圧縮で劣化しない限界まで上げておくのは悪いことじゃないんだね💡

Yugo
Yugo

最終的な音量はゲームや映画のサウンドデザインスーパーバイザー(音響監督)が決定するからそちらに任せよう💡

こむぎ
こむぎ

さっきの表を見ると映画もTVも-16LUFSよりずっと小さな音だからこれで十分そうだね💡

実際に作業に取り掛かろう!今回の作業一覧はこちら!

Yugo
Yugo

今回、基本的な音作り・バランス・空間はミックスで調整済みなので、マスタリングでやることはほぼ音量調整だけ💡

あとは、最終的に目立った歯擦音を取ったりおまけで少しだけ雰囲気を作ってみよう💡

こむぎ
こむぎ

はーい♪ここから先はすべてマスタリングの工程だね💡

耳障りな音をもう一度チェック?ディエッサーで取り除こう!

Yugo
Yugo

ミックスの段階でもEQを使ってかなり耳障りな音は取り除いたけど、最後にもう一度だけチェックして、ディエッサーというエフェクトを使って耳が痛くなる周波数帯域を圧縮しておこう💡

こむぎ
こむぎ

今回は11625Hzを中心に、範囲を絞って圧縮したんだね💡

Yugo
Yugo

ディエッサーは範囲を絞って掛けられるコンプレッサーの一種だよ💡ディエッサーについてもっと知りたければ「耳が痛くなる音域を削るディエッサーの効果的な使い方」を見てね💡

ディエッサー
掛ける前
ディエッサー
掛けた後

テープシミュレーターを通してアナログ質感を与えてみよう!

Yugo
Yugo

今ではデジタルレコーダーやパソコンで簡単に録音ができるけど、昔は音をテープで録音していたんだ💡

テープシミュレーターや真空管シミュレーターを使えば、最近のデジタルな音をアナログ質感の温かみのある音にすることができるよ💡

こむぎ
こむぎ

それって必要あるの?

Yugo
Yugo

デジタルな音が良い場合もあるし、今回のようにBluegrassという時代背景を考えるとアナログ質感の音が合う場合もあるよ💡

一見わかりにくいけど、後々編集する上でかなり音質が変化するので“何となく使っておこう”というのは避けたほうが良いかも💡

こむぎ
こむぎ

なるほど〜、意外と難しいんだね。

Yugo
Yugo

今回使用する「Waves Kramer Master Tape」の詳しい使い方は「アナログをシミュレートするWaves Kramer Master Tapeの使い方」で紹介しているよ💡

アナログシミュレーター
掛ける前
アナログシミュレーター
掛けた後

BUSコンプレッサーで最終的なダイナミックレンジを整える!

こむぎ
こむぎ

BUSコンプに使用するコンプレッサーはどんな種類のものでもいいの?

Yugo
Yugo

基本的にはどんなものでも大丈夫だけど、一般的にBUSコンプにはVCA式のコンプレッサーが使われることが多いよ💡

Yugo
Yugo

個々のトラックではなくて、複数のトラックにまとめて掛けるコンプレッサーのことをBUSコンプというよ💡

こむぎ
こむぎ

BUSコンプに使用するコンプレッサーはどんな種類のものでもいいの?

Yugo
Yugo

基本的にはどんなものでも大丈夫だけど、一般的にBUSコンプにはVCA式のコンプレッサーが使われることが多いよ💡

有名なSSL BUSコンプやAPI-2500、DBX 160なども全部VCA式だね💡

BUSコンプはどのくらいのリダクション(圧縮量)にするの?

こむぎ
こむぎ

ところでさ?BUSコンプではどのくらいまで圧縮すればいいのかな?目安とかないの?

Yugo
Yugo

BUSコンプではまとまりを良くする程度に、最大3dB程のリダクションに抑えておくと綺麗に仕上がるよ💡

あと💡VCA式のBUSコンプを使う場合、掛けすぎると低音が弱くなる傾向があるので気をつけよう💡

BUSコンプ
掛ける前
BUSコンプ
掛けた後

トータルEQで雰囲気(楽しい、落ち着いている、明るい、暗い)を調整してみよう!

Yugo
Yugo

次は、曲全体にEQを掛ける、トータルEQで曲の雰囲気を調整してみよう💡

ミックス段階ではやや落ち着いた雰囲気だったけど、楽しいゲームにしたいからちょっとだけ明るい雰囲気に変えてみよう💡

こむぎ
こむぎ

見た目ほとんど変化がわからない・・・メモリを見ると0.7dBくらいの変化だよね?

Yugo
Yugo

ほんの少しの変化を重ねると大きな変化になるんだよ💡

ちょっとずつコツコツ、小さなこと1つでも毎日長く続けて、ある時ふと振り返ってみると大きく成長しているのと同じ💡

トータルEQ
掛ける前
トータルEQ
掛けた後
こむぎ
こむぎ

うぅ・・・、そう言われると変化しているようにも感じる・・・。

マキシマイザーで音量を調節する!

Yugo
Yugo

さあ💡これですべての音質調整が終わったので、いよいよマキシマイザーを使って音量を目標の-16 LUFSまで上げていこう💡

と、言いたいところなんだけど、もう既に目的の音量にかなり近いところで作業を進めていたのもあって、ここでは微調整という形になったよ💡

こむぎ
こむぎ

何はともあれこれで完成だー(*´∀`*)♪♪♪

ラウドネスレベルを確認!

Yugo
Yugo

曲の最初から最後まで通して測定するとちゃんと-16 LUFSになっているね💡これでマスタリングの工程はすべて完成だよ💡

マスタリングの完成!

一番最初
(未加工の状態)

今回のスタート
(MIX終了地点)

今回の完成
(マスタリング済)!

こむぎ
こむぎ

わー!完成だ〜!こうして比べてみると最初の状態と全然違うんだね!?びっくり💡

今回までに、DTMについて学んできたけど、改めて、曲を作って仕上げるまで全部一人でやるのって大変だな〜って思ったよ‹‹\(´ω` )/››‹‹\(  ´)/››‹‹\( ´ω`)/››

Yugo
Yugo

そうだね💡そして今、この21回を振り返ると、もう少し簡単に解説すれば良かったな〜とか、正直なくても曲作れるな〜っていう部分もあって、当初想定していたよりも10倍近く難しい内容になってしまったなと反省中(∩˃o˂∩)

こむぎ
こむぎ

たしかに;;特に対位法とかの辺りは正直必須ではないし、MIX編で使ったBluegrassの曲ではまったく無視して作られてるもんね💡

Yugo
Yugo

実は知人の作詞家さんでDTMも始めたい!という方がいて、このシリーズを進めたところ「さっぱりわかんな〜い」って言われ^-^;

なるほど〜、もう少し視点を変えなきゃな〜と思ったよ💡

こむぎ
こむぎ

あららっ、そりゃ考え直さなきゃね〜(笑)

Yugo
Yugo

今後はさらに、より初心者の方でもDTMを楽しめるようなコンテンツも作っていきたいね💡

こむぎ
こむぎ

それは次の作品もある?ということかな?

Yugo
Yugo

どうだろう💡それはまだ未定でーす♪

まずはみんな💡最終回まで見てくれてありがとう⁽⁽ ◟(∗ ˊωˋ ∗)◞ ⁾⁾

超謎解き!DTM探検!!最終回(完)あとがき

「超謎解き!DTM探検!!」は今回が最終回です💡これまでたくさんの方に見ていただき、無事に最終回までたどり着くことができました💡ありがとうございます!

 今回までの執筆にあたっては、今までいろいろな方に教わってきた内容を、どのようにしたらわかりやすく伝えられるか、世の書籍よりももっとわかりやすく伝えたいと思って書き進めたものの、これがまた書きたいことがたくさんで、その中から必要最低限のことを選ばなければならない葛藤(既に書きすぎていますが)が常にありました。

 特に、作曲という分野においては、ある分野では必要な知識でも他の分野では必要がなかったり、多岐にわたっているため解説が難しいなと改めて感じます。

 そのような中、最終回まで見てくださった皆様、そしてこの記事を執筆するまでに様々な技術・技法・アドバイス・学びの場をくださった内海聡子氏、Momoe Nakamura氏、周防義和氏、Kenji Nakai氏、Bob Ward氏、高尾悠氏、Nao氏に御礼申し上げます。