超謎解き!DTM探検!!第10回は「DTMの打ち込みでアーティキュレーションを表現する方法!」について紹介していきます。
DTMではマウスなどでMIDIノートを打ち込んで曲を組み立てていくという方も多いと思いますが、そうなると忘れがちになってしまうのが「アーティキュレーション」についてです。
ピチカート奏法やトレモロ奏法など、そもそも弾き方を変える奏法については、最近はキースイッチなどでパッチを切り替える機能が普及してきたので大分浸透してきたのですが、アーティキュレーション自体についてはなかなかよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
今回はそんなアーティキュレーションを付けることによって曲がどのように活きてくるのか?DTMで表現するにはどのように打ち込めが良いのか?について紹介していきます。
実際にアーティキュレーション(MIDI画面)と音色を合わせて紹介していくので耳で覚えてしまいましょう^-^ノ
アーティキュレーションとは?
アーティキュレーションとは一言に言えば、「音の長さや強さを指定するもの」です。
例えば、上のような楽譜をMIDIで入力する時、皆さんはどのようにMIDIノートを書いていますか?
マウスで打ち込む多くの方は、4分音符だからノートをめいっぱい伸ばして打ち込んでいると思います。
ところが実際の演奏では、次のように、目一杯伸ばす(スラー)こともあれば、ギリギリで切ってみたり(テヌート)、ギリギリで減衰させてみたり(マルカート)、半分の長さで切ってみたり(スタッカート)、ある音だけ強く演奏してみたり(アクセント)と1フレーズの中でもかなり細かいことをやっているのです。
このように、同じ4分音符であっても様々な表情を変えて演奏することを「アーティキュレーションを変える」と呼ぶのです💡
何も指定がなければ「基本はマルカート(marcato/marc.)」
マルカートは、音価の7割くらいから徐々に音を切っていくイメージで演奏するアーティキュレーションです。
楽譜中にアーティキュレーションに関する表記が特になければ通常はマルカートで演奏することになっています。
ただし指揮者の感性によって実際の演奏時に変えられてしまう場合もあるので絶対にマルカートで演奏してもらいたいときには音符の下に「marcato」と一言書いておきましょう。
DTMでマルカートを打ち込む方法
マルカートを打ち込む際には、ノートの7割から終わりの部分を丸く滑らかにボリュームを落とすようにCCにオートメーションを書いて表現していくのがポイントです。
音源によってはCC2(ブレスコントロール)だったりCC11(ボリューム)を使って表現していくと綺麗に鳴らすことができます。
また、オートメーションを使って表現するのがちょっと苦手、という方は「マルカート」パッチが含まれている音源を使ってMIDIノートだけで打ち込むこともできます。
DTMでは「レガートとして知られる「スラー(Slur)」
DTMではレガートの音源はとても人気があって定番ですが、レガートの音源は本来はスラー部分を表現するために使用するものです。
スラーで繋がれた音は切れ目なく滑らかに繋いで演奏を行っていきます。
DTMでスラーを打ち込む方法
スラーはつなぎ目が途切れないように演奏するので、各ノートの終わりを伸ばして次のノートに重ねるように打ち込んでいきます。
CC(ブレスやボリュームなど)のオートメーションは滑らかならがらも多少の変化を与えてあげることでゆらぎが生まれて人間味がでます。
楽器をやっているとよく耳にする「テヌート(tenuto/ten.)」
テヌートは、音の長さを十分に保って(伸ばして)演奏することを意味します。
それではスラー(レガート)と何が違うの?と思われるかもしれませんが、スラーとの違いは、スラーはつなぎ目がないように演奏していたのに対し、テヌートでは十分に音の長さは保ちつつも、各音符のつなぎ目は切って演奏するという違いがあります。
楽団に入っているとよく指揮者から「もうちょっとテヌート気味で〜」などという指示がよく出る定番のアーティキュレーションなので覚えておきましょう。
DTMでテヌートを打ち込む方法
基本はレガート音源は使って、各ノートに隙間を作るように打ち込んでいくのがポイントです。
MIDIノートもやや隙間を開けたり、CCオートメーションを使用する場合にはやはりぎりぎりまで伸ばしつつも切れ目を入れてあげることでテヌートになります。
半分の音価(音の長さ)になるスタッカート(staccato/stacc.)
スタッカートとは、音価(音の長さ)を半分の長さに切って演奏しましょう、というアーティキュレーションです。
例えば4分音符をスタッカートで演奏すると「8分音符+8分休符」と同じ意味になります。
重要な注意点としては、単純に音が1/2になるということだけに意識して、音色などは変化させないということです。
なので弦のスタッカートでも音色は変化させません。もし跳ねたような弦の音にしたいという場合には「スピッカート」というまた別の奏法を使用します。
DTMでスタッカートを表現する方法
スタッカートは音源によってはスタッカート用のパッチが用意されていることもあるのですが、キースイッチを使用したり別トラックを用意するのも製作の時間がかかって効率が悪いのでレガートパッチを使用して打ち込むのがベストです。
単純に音価が半分なので、ノートを半分にしたり、オートメーションを半分にして打ち込めが簡単に表現することができます。
音を強調するアクセント「(accento)」
アクセントが付いた音は、他の音よりも強く演奏することを意味します。
よく楽譜に書いてあるある rf(リンフォルツァンド)やfz(フォルツァート)、sf(スフォルツァート)、sfz(スフォルツァンド)などもアクセントの意味で使われています。
アクセントは単体で用いるのではなく、「アクセントテヌート」や「アクセントマルカート」のように他のアーティキュレーションと組み合わせて使用します。
DTMでアクセントを表現する方法
音源によってはsfz(スフォルツァンド)などのパッチが用意されている場合がありますが、なければCCオートメーションやベロシティを使って強弱を付けていきます。
上の例ではCC2(ベロシティクロスフェード)機能を使って強弱を表現しています。
アーティキュレーションのまとめ
同じ楽譜でもアーティキュレーションを変えると様々な表現ができますね💡
マウスでポチポチと打ち込んでいるとついつい忘れがちになってしまう細かい表現ですが、たまに思い出してみると表現の幅を広げることができます。
DTMで表現を付けるのはなかなか大変な作業ですが、まずは簡単なフレーズからアーティキュレーションの打ち込み練習を始めてみてくださいね^-^ノ
アーティキュレーションについてより多くの知識を詳しく知りたい方は「アーティキュレーションって何?アーティキュレーションの種類を覚えて演奏を豊かにしよう♪」の記事をご覧ください。