DTMのクオリティはレコーディングで決まる!?具体的に何を調整しながら録音すべき!?

 DTMの世界では予め用意された音源を使用して曲を仕上げることも少なくありませんが、譜面を作って楽器を演奏したり、ボーカルをレコーディングする機会があったりと、長く続けていればレコーディング技術が必要になる場面が必ず登場します💡

 レコーディングといえば、「演奏(歌)の失敗がないように録音すればよい」と考えている方も多いのではないでしょうか?

 でも、実はレコーディング段階のミックスでは音が作りやすく(変化しやすく)、そこで作った音というのは後のすべての工程までずっと引き継ぐことになる、重要な音作りの場面だということを忘れてはいけません💡

 今回はそんなレコーディングについて、具体的に何を調整できるのか?どのような音作りに注目しながら録音すべきなのかについて紹介していきます^-^ノ

バランスと距離感(空気感)の調整!

 レコーディングでは、すべての楽器を同時に演奏しながら録音する場合と、それぞれの楽器を別々に録音する場合がありますが、どちらも考え方は同じです💡

 これはアメリカでのスピーディーなやり方ですが、いずれの方法でも、レコーディングエンジニアは収録時に楽器のパン振りと距離感(空気感)を調整して、世界観が決まったところで録音を開始します。

 これが、よく言われる「レコーディングが終わったときにはほぼ音が完成している」という状態なのです💡

レコーディング時に音が完成しているって素敵!

  • アメリカでのプロレコーディングはとにかくスピーディーで仕事が早く、録り終わったらもう完成でも良いのでは!?というレベルのクオリティになっていて、そこからさらに仕上げのミックスを行う!
  • ミックスはあくまでブラッシュアップでより世界観を表現すること。補正する工程ではないというのが世界で活躍するエンジニアの考え方!

一流のエンジニアはリバーブで距離感を整えることをほぼしない!?

 DTMで様々な音源を使用する場合は、それぞれの空気感が異なるので後から距離感を整えるのが大変ですね💡

 でも、楽器をレコーディングする場合には基本的にマイクとの距離を変えることで収録時に距離感(空気感)を作り上げることが簡単にできてしまいます!

 レコーディングとは空気を作る場であって、一流のエンジニアの中には、後からリバーブで空気感を整えることはほぼやらないという方も少なくありません💡

 レコーディング時に空間が完璧に整えられているのは当たり前で、さらに味付けしてブラッシュアップするために特殊効果としてリバーブを使用している感覚を持っているエンジニアは特に海外では多い傾向にあります。

DTM用の音源でもスピーカーからの音をマイクで取り直して距離感を調整する!?

 一流の現場となると、あまり楽器系の打ち込みを使用することはありませんが、もしそれらがエンジニアの元に持ち込まれた際には、シンセの音をスピーカーから出してそれをマイクで収録して距離感を整えることもあります💡

 DTMでは、一般的にコンボリューションリバーブを使用して空気感を整えますが、そのようなプラグインを購入しなくてもマイクとスピーカーさえあれば簡単に距離感を出すことができるのですね💡

 エレキギターやエレキベースをキャビネット経由でマイクに録音するのと同じイメージを持つとわかりやすいかと思います💡

レコーディングでは音色も作れる!?

 音源を使用したDTMでは、「ちょっと低音がきつい」「高音が耳に刺さる」なんて時にはEQやディエッサー、マルチバンドコンプなどを使って音色を整えなければなりません。

 でも、これから歌や楽器を録音するなら、マイクの角度を変えるだけでも音色が変わります。

できる限り目的の音色に寄せて録音する!

 もちろん、マイキングによる調整でも楽器によっては限界がありますが、EQを合わせて音色を作る前に、できる限り目的の音まで寄せておくことは、楽器の持つ良い成分を最大限に収録し、不要な成分をできるだけ予めカットするために有効な手段です💡

例えばギターのレコーディングを想像してみよう!

 例えばギターの場合、上部の6弦は音が太く、下に行くほど細く高い音になりますので、マイクを上に向ければより太い音で、下に向ければよりシャリシャリとした音色が収録できることが想像できるかと思います💡

 さらに、サウンドホールからは反響したボンボンっという音が出たり、ピッキングのアタック音は手元に近いほど多く入ったり、マイクを向ける位置によってキャラクターが全く異なる個体に変化するので驚きです!

 他の楽器やボーカルでもそうですが、マイクの位置を変えるとサウンドがガラッと変わる楽器は多く、マイキングが上手になればEQで音を作るよりもずっと簡単に目的の音色を得られるようになります💡

DTMのクオリティはレコーディングで決まる!?具体的に何を調整しながら録音すべき!? のまとめ!

  • レコーディングで最も重要なことは空気感を完璧に作りあげること!
  • レコーディングという視点から見れば、リバーブは補正するものではなく、あくまで特殊効果としてより空間を広げるために使用するもの!
  • DTM用の音源も、一度スピーカーから流してマイクで収録することで距離感を簡単に整えることができる!
  • 楽器の音色は、EQで整えるよりも、レコーディング時のマイキングによって作ったほうが音の成分のムダがなく美しく仕上がる!

 以前、アメリカ東海岸ボストンで活躍するフィルムコンポーザーの方と話をしていた時、「アメリカでは仕事のできる作曲家ほどDTMの音源にお金をかけず“モックアップ”は安っぽい」という話を聞いたことがあります。

 アメリカのプロ製作現場では譜面を書いてモックアップを作る人、楽器を演奏する人、レコーディングを行う人、ミックス・マスタリングを行う人、など一流の技を持った方々が分担して1つの作品を作るので、多くのことはやらないけど、それぞれが自分の担当に専念するため特化した技術がとても高いのです💡

 そして、日々熱い想いを持って現場に臨んでいる彼らが口をそろえて言うのが「如何に世界を表現するか」が最も大事だということ💡

 今回はそんなDTMの工程のなかでもレコーディングって何をするの?について、世界を表現するための手法を紹介しました^-^ノ